マンハント 1958-12 No5 ( 久保書店 )

飛び抜けた作品はないものの、楽しく読めるお話揃い。


題名 作者 評点 コメント
おれもサンタクロースだぜ エヴァン・ハンター 7.0 酔いどれ探偵カート・キャノン物。筋書は単純だが、良い調子で読ませる。
週末の客 アースキン・コールドウェル 4.0 つまらない時代遅れの風俗物。
男をじらせるな ピーター・ペイジ 7.0 ラストのひねりに、いささか虚をつかれた。
その日の仕事 ジョナサン・ロード 4.0 趣旨はわかるが、平凡。
野獣めざめる夜 チャールズ・ベックマン・ジュニア 5.0 強盗犯を正当防衛で殺した男が殺人衝動に目覚めるという時代遅れの展開。
ヌードへの挽歌 ジョナサン・クレイグ 6.5 愛人の死体を車の中で発見したピアニストは、関係者を調べていくが..。面白くなりそうな展開なのだが、ラストに何の意外性もないのが残念。
深夜の訪問者 ウェイド・ミラー 6.0 寝室に押し入ってきたしてきた男の正体は。ちょっとしたひねりのショートストーリー。
七年目の逢いびき ヘレン・ニールスン 6.5 出獄した男は騙した女を見つけ、車に乗り込む。逆手に取った女の反撃は皮肉な結末に。取ってつけたようなラストは今ひとつ。
差し引き-9 デイヴィッド・アリグザンダー 6.0 過去の負目に報いようとする男の施策はすべて裏目に出て、徐々にバランスを崩していく。特にひねりもなく平凡。
レイディー・キラー リチャード・マーステン 6.5 殺し屋が仕掛ける逆転劇。面白い趣向である。
隣りの女 ミッキイ・スピレーン 7.0 自分を裏切り続ける友人への復讐談。ラストはいささか陳腐だが、語り口がうまい。スピレーンて、こんな作品も書けるのか。感心しました。
制服は誰にも似合う ヘンリー・スレッサー 6.5 殺人現場を目撃された二人組は女の口封じに走るが、スレッサーらしいオチで幕を閉じる。
女にゃヨワいぼくなんだ リチャード・S・プラザー 7.0 今回は偽シェル・スコットまで登場する詐欺物語。相変わらず快調なペースと語り口で進みます。こんな作品が一篇あれば、満足できますね。
表紙 秋保正三
カット 江淵晃夫
ページ 140ページ
定価 100円 地方103円
  • 実家に置いてある「EQMM」を取りにいけないので、そのつなぎに全く未整理になっていた「マンハント」を読んでみることにします。実は、「マンハント」を丸一冊読むのはこれが初めて。ジョン・エヴァンズの長編目当てに読んだことぐらいしか記憶にありません。
  • さて、この号ですが、飛び抜けた作品はありませんが、どれも退屈させない出来となっています。その中でも、やはりマクベインやプラザーはモノが違いますね。今回掲載の「エヴァン・ハンター」と「リチャード・マーステン」、どちらもエド・マクベインです。
  • 「マンハント」は、ヌードピンアップでも有名だったのですが、これはこの号から始まったようです。編集後記に、『グラマア・フォトを掲載したり、写真構成の挿絵を試みたりしましたが、いかがでしょう。事情の許す範囲で日本語版・独特のスタイルをだしてみようというわけです。』とあります。
    ちなみに、この号の「グラマア・フォト」、丸綴じの中央部分にあったようですが、見事に切り取られておりました(笑)。