マンハント 1959-3 No8 ( 久保書店 )

作品レベルのばらつきがひどい。結局、読ませる作家は限られているということですか。


題名 作者 評点 コメント
拾った運 ジェームズ・E・クローニン 4.0 拾った金を素直に返した男が見舞われる不運。ひねりもなくつまらない。
街には拳固の雨が降る エヴァン・ハンター 6.0 連続暴行事件の囮になったキャノンの怒りが爆発。
馬鹿ほど怖いものはない リチャード・ハーパー 4.0 出だしは落語帳で面白かったのだが、その後が全くだめ。
そんなのが好き! マイク・ブレット 3.0 何だこの作品。どうしようもない。
そうは問屋がおろさない ハロルド・Q・マシュー 7.0 依頼人の妻にちょっかいを出したジョーダンは、なくなった金の在り処を探すはめとなってしまう。短い中でうまくまとめているのはさすが。
誘惑 フランク・シリック 2.0 気分の悪い話。
百万人目の殺人 レイ・ブラッドベリ 5.0 白人が滅亡していく社会に残された夫婦。当時のアメリカ社会への皮肉なのだろうが、救いのない話。
美しい人形のために アーノルド・マアマー 7.0 麻薬捜査に成功した刑事に待つものは。哀しいラストが印象的だ。
のどかな日曜日の午後 ギル・ブルワー 5.0 ピクニックにいた家族はチンピラの暴行にあう。ラストはエロ話かよ、
嬲りもの リチャード・マーステン 6.5 人にの女を取り合う二人だったが、最後に選んだ結論にニヤリとさせられる。
ハッピィ・バースディ レックス・レイニイ 5.0 妻を殺してしまった男はしたいを自宅に持ち込もうとするが。ラストが今ひとつ。
灯を消すな二人に コーネル・ウールリッチ 7.5 昔憧れていた女優が田舎町で殺人事件の被告になっていることに気がついた弁護士は、自ら謎の解明に赴く。序盤がいかにもウールリッチ。ミステリとしては今ひとつだが、作者には珍しい法廷シーンとハッピーエンドが爽快だ。
表紙 秋保正三
コラージュ 江淵晃夫・大森忠行
カット 江淵晃夫
ページ 142ページ
定価 100円 地方103円
  • これで「マンハント」も4冊目ですが、ここまで「どうしてこんな作品を採用したのだろう」と訝る出来が少なくありません。本国版もしょせんこの程度なのかもしれませんが、もう少しセレクションをなんとかできなかったのでしょうか。
  • 結局、読ませる作品は著名な作家のみ。この号で言えば、エヴァン・ハンター(リチャード・マーステン)、ハロルド・Q・マシュー、コーネル・ウールリッチといったところ。まあ、悪くない作品が3篇もあるのですから、目くじら立てることもないのでしょうが、その格差があまりにひどいため、どうしても言いたくなってしまいます。
  • エヴァン・ハンターの「キャノン物」は「これで終わり」という訳者の注釈がありました。都筑道夫ですね。その後、都筑はキャラクタを借りて、文字通り「続き」を書くことになります。