マンハント 1959-5 No10 ( 久保書店 )
巻末を飾るプラザーの出来がひどく、そこまでの好調さをスポイルしてしまいました。
題名 | 作者 | 評点 | コメント |
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愛の儀式が終ったとき | フレッチャー・フローラ | 6.5 | 短い中で工夫をこらす。さすがのベテラン芸。 |
霧の夜の欲情 | ギル・ブルワー | 4.0 | まとまりのないエロ話。 |
死神といっしょ | フロイド・マハナー | 7.0 | 余命宣告され、開き直った男の無双ぶりが楽しい。 |
手間どったぜ | ロイ・キャロル | 5.5 | 撃たれた上にナイフで襲いかかられる男。皮肉な結末は今ひとつ。 |
ナイフ背負ったお客サマ | ハロルド・Q・マシュー | 7.0 | お馴染みスコット・ジョーダン弁護士物。プロットもしっかりしているし、後頭部を殴られるという展開はハードボイルドの定型だね。 |
白い悪夢たち | エヴァン・ハンター | 7.0 | 87分署物「麻薬密売人」の原型。キャレラがケアラになっている。まだ長編未訳の時代である。 |
あたしのせいじゃない | フィリップ・ウェック | 6.0 | 盲人が探している人間になりすました女だったが..。ちょっとしたひねりは悪くない。 |
挑発 | チャールズ・ベックマン・ジュニア | 5.0 | ストーカー被害を訴える依頼に探偵は着手するが。ラストが今ひとつわかりにくい。 |
熱っぽい肌 | フランシス・カーフィ・マトランガ | 4.0 | 車椅子の夫は嫉妬に狂った挙げくに..。このラストは後味が悪い。 |
女たらし | クローディアス・レイ | 3.0 | わけがわからない与太話。 |
とんでもない休暇 | リチャード・S・プラザー | 4.0 | ダラダラと長いだけで退屈。プラザーにしては出来が悪い。 |
表紙 | 笠井一 | ||
コラージュ | 江淵晃夫・大森忠行 | ||
カット | 江淵晃夫・おおば比呂司 | ||
ページ | 203ページ | ||
定価 | 150円 地方153円 |
- エヴァン・ハンター、ハロルド・Q・マシュー、リチャード・S・プラザーの三作がこの巻の目玉。87分署、スコット・ジョーダン、シェル・スコットと贅沢な揃い踏みです。途中の作品も読ませる作品が多く、プラザーが後を締めさえすれば、「終わりよければ全てよし」だったのですが、これが期待を大きく裏切り、途中でやめたくなるほどのひどい出来。残念な結果となりました。
- この号でマンハントは10号目。だいぶ格好がついてきたように思われます。全巻持っているわけではないため拾い読みですが、そんな気がする一巻でした。
- ただ、訳者の名前が載っていないのは残念ですね。今回の87分署でも、スティーブ・キャレラが、スティーブ・ケアラになっているのですが、訳者は誰なのか気になって仕方がありません。
- プラザーもすごい意訳です。今回読みづらかったのはそのせいでもあります。当時としてはモダンな地口を入れたつもりなのでしょうが、時代の経過とともに古臭くなってしまった、そんな感じですね。