伝奇時代小説集 ベストナイン傑作選 ( 南條範夫編 )

盛り上がりのない作品揃いで、うんざりしました。


題名 作者 評点 コメント
妖術 海音寺潮五郎 5.0 [読売時事 昭和24年3月]起承転結のない単なる不思議話。
陰火の森奇譚 杉本苑子 4.0 [小説宝石 昭和51年9月]他愛のない怪談。
忍法幻羅吊り 山田風太郎 3.0 [講談社版『忍法聖千姫』より転載]全くひどい展開で、とても風太郎とは思えない出来。よりによってこんな作品を選ぶとは。
狐と馬 池波正太郎 7.0 [週刊小説 昭和47年3月3日号〜4月7日号]狐憑きのお伽噺なのだが、さすが池波、読ませます。
美少年 早乙女貢 6.0 [東京文芸社版『夢幻の城』より転載]天草四郎切支丹物。このテーマは誰が書いてもそれなりに展開するのだが、ラストが平凡。この作家の限界かな。
比丘尼の死 小松左京 6.5 [オール読物 昭和41年4月]不老不死の比丘尼伝説を利用した文明批判。ラストをもう少しシニカルにしてほしかった。
ハナノキ秘史 南條範夫 5.0 [桃源社版『上忍秘譚』より転載]単なる歴史物で伝奇的要素に乏しい。
無月物語 久生十蘭 5.0 [オール読物 昭和25年10月]単なる暴君の話で、面白くない。
葛城の王者 黒岩重吾 3.0 [歴史と人物 昭和49年7月]何だこの話。歴史を背景にした超人物か。

何故か所持していた南條範夫編のアンソロジーを読んでみたのですが、ぱっとしない作品揃い。好みに合わないこともあるのでしょうが、全く面白みを感じない読書となってしまいました。


双葉社 昭和52年2月1日 初版発行 274ページ 650円