地獄に落ちろ! 宝石傑作集2・サスペンス編 ( 中島河太郎編 )

賞味期限切れの作品が多く、盛り上がりません。


題名 作者 評点 コメント
大下宇陀児 5.0 [宝石 昭和35年8月]弟の誘拐殺人に妹は姉を疑う。結末が何のひねりもないのは辛い。
誰かが―父を 南條範夫(南条範夫) 6.0 [宝石 昭和36年3月]父親の死を継父による毒殺とみた男は復讐に走るが..。残念ながら、結末は予想できてしまう。
進化論の問題 新羽精之 8.5 [宝石増刊 昭和37年1月]養鶏家の飼料理論が凄い。結末もまさしくブラックユーモア、うまくまとめている。
刀匠 大河内常平 4.0 [宝石 昭和27年11月]思わせぶりな展開だが、何が書きたいのかよくわからない。
悪魔の掌の上で 樹下太郎 7.0 [宝石 昭和33年1月]夫と愛人の二重殺人を計画した女だったが..。ラストはなかなか面白い。
併殺 新章文子 4.0 [宝石 昭和33年11月]長々と退屈な愛憎話を聞かされてしまった。
女と子供 藤木靖子 7.5 [宝石増刊 昭和35年2月]現代の推理小説(第3巻) ロマン派の饗宴で読了済。
五人のマリア 川辺豊三 3.0 [別冊宝石 昭和33年2月]古臭い設定で、現代では読むに耐えない。
雪どけ 戸川昌子 6.0 [宝石 昭和39年4月]子供の語り口が面白いが、ストーリーは平凡。
  • 新羽精之の「進化論の問題」が目立ちましたが、後は今ひとつ。現代では鑑賞に耐えないレベルの作品が少なくありません。
  • 「サスペンス編」ということですが、この分野は一番風化が激しいのかもしれません。その時代の風俗や価値観に依存する作品は、寿命が短い。現代まで通用する作品は極めて稀ということでしょう。

角川文庫 昭和五十四年一月三十日 初版発行 昭和五十四年六月三十日 再版発行 335ページ 340円