「宝石」傑作選 甦る推理雑誌10 ( ミステリー文学資料館編 )

「宝石」どころか「ガラス玉」にもならない作品揃いで、うんざりしました。


題名 作者 評点 コメント
ユダの遺書 岩田賛 6.0 [宝石 昭和24年10月]人物設定がゴタゴタしているうえ、動機に説得力がない。
或る自白 川島郁夫(藤村正太) 7.0 [宝石 昭和25年5月]叔母殺人の嫌疑をかけられた男の手記。よく考えられた佳作だが、後半が少しくどすぎる。
白日の夢 朝山蜻一 3.0 [宝石 昭和25年9月]つまらない夢話。
薔薇の処女 宮野叢子 4.0 [宝石 昭和25年12月]薔薇の女王と言われる娘を憧憬する弟とその家庭教師。いささか気持ちの悪い話。
暗い海白い花 岡村雄輔 5.0 探偵小説年鑑で読了済。
孤独 飛鳥高 6.0 [宝石 昭和26年2月]嘗ての富豪から別荘を購入した代議士が殺害される。動機は少し面白い。
まつりの花束 大倉燁子 4.0 [宝石 昭和27年1月]嘗て見殺しにした愛人に怯える男。なんのミステリ的な要素もなく、つまらない話。
科学者の慣性 阿知波五郎 5.0 [宝石 昭和27年3月]肺病に怯える友人をなだめる親友二人。これも面白くない。
神技 山沢晴雄 5.0 [宝石 昭和27年4月]ホームズばりの推察術をこねくり回しているだけ。
ぬすまれたレール 錫薊二 2.0 [宝石 昭和27年7月]なんなんだ、これ。内容のない会話が続くだけ。
緑のペンキ罐 坪田宏 5.0 [宝石 昭和29年8月]浴室の密室殺人。機械トリックで面白くもない。
最後の女学生 明内桂子(四季桂子) 5.5 [宝石 昭和29年10月]戦前の悪徳教師殺人事件。当時はそれなりに新味があったのかもしれないが賞味切れ。
蛸つぼ 深尾登美子 3.0 [宝石増刊 昭和30年8月]独りよがりの展開にはついていけない。
  • この作品集、本当にひどい作品揃い。「いんなあとりっぷ版」や「角川文庫版」との重複を避けていることはわかりますが、もう少しマシな作品はなかったのでしょうかね。川島の作品だけが、まあ悪くないレベル。これ以上コメントしようがありません。

光文社文庫 2004年1月20日 初版1刷発行 484ページ 724円+税