幻想と怪奇 2 <英米怪談集> ( 早川書房編集部 )

著名作だけが光るアンソロジー。残りはぱっとしません。


題名 作者 評点 コメント
ルクンド エドワード・ルカス・ホワイト 6.5 人面疽のような話だが、不気味な雰囲気に満ちている。
マクスンの人形 アンブローズ・ビアース 5.0 自動人形が意思を持つという設定はありふれている。
猿の手 W・W・ジェイコブズ 7.5 3つの願いを叶えるという猿の手を譲り受けた一家。これは怖いね。
人形の家 M・R・ジェイムズ 5.0 「人形の家」という設定は面白いが、ラストに何のひねりもないのが残念。
ダンウィッチの怪 H・P・ラヴクラフト 7.0 単純でくどい話なのだが、異様な怪物を描き出す作者の筆力には感心する。
胸の火は消えず メイ・シンクレア 3.0 ある女の愛の遍歴を幻想的に語ったと思われる物語。冗漫でつまらない。
開いた窓 サキ 6.5 怪談と思わせておいてラストでひとひねり、といったところだが見当はついてしまう。
ハロウビー館のぬれごと ジョン・K・バングズ 7.0 毎年1時間館の主人につきまとう女幽霊。これを手玉に取る展開に笑ってしまう。
ビールジーなんているもんか ジョン・コリア 5.0 ラストがピンとこない。
ジョン・スタインベック 4.0 これ、何が書きたかったのだろう。よくわからん。
ミリアム トルーマン・カポウティー 5.0 孤独な老女につきまとう少女。ありきたりの展開で新鮮さを感じない。

今回のアンソロジーで、「幻想と怪奇」初心者でも知っているタイトルといえは、W・W・ジェイコブズ「猿の手」、H・P・ラヴクラフト「ダンウィッチの怪」、サキ「開いた窓」の3作でしょう。読み終えてみると、さすがにこの三作は読ませますが、残りの作品が今ひとつ。古臭く冗漫なものや、何が書きたいのか理解できない作品もあり、無名作家の作品が面白かった幻想と怪奇 1 <英米怪談集>に比べると、かなり落ちる内容だったのが残念です。