新青年傑作選集2 推理編2 モダン殺人倶楽部 ( 中島河太郎編 )

後に名を残す作家の作品は面白い。当たり前か。


題名 作者 評点 コメント
死体昇天 角田喜久雄 5.5 [昭和4年8月号] 発端は面白いのだが、ラストが腰砕け。
精神分析 水上呂理 6.5 [昭和3年6月号] フロイド理論の頂きで、あまりに作り物めいている。
人間灰 海野十三 7.5 [昭和9年12月号] ミステリとしても、ユーモア小説としても面白く読める。
睡り人形 木々高太郎 7.0 [昭和10年2月号] 変態的な話なのに、格調を保って語る木々の筆力は大したものだ。
秘密 平林初之輔 6.0 [大正15年10月号] 大正時代の作品にしては古さを感じない。
四次元の断面 甲賀三郎 4.0 [昭和11年4月号] 木々と比べると品格に乏しいエロ話。
閉鎖を命ぜられた妖怪館 山本禾太郎 4.0 [昭和2年4月号] 結末がよくわからない。
陰獣 江戸川乱歩 7.0 [昭和3年8,9,10月号] このプロットは再読に耐えないのが残念。前半のムードはさすが乱歩である。
  • 1977(昭和52)年7/22初版、1978(昭和52)年2/20三版発行、定価340円。最終ページに300円の書き込みありますから、古本屋で買ったのでしょう。
  • 乱歩の「陰獣」は世評の高い作品ですが、江戸川乱歩の存在がリアルタイムに感じられた時代ならではの評価でしょう。今となっては、大抵の読者は結末に見当がついてしまうし、曖昧な結末もあまり効いているとは思えません。