新青年傑作選集3 推理編3 骨まで凍る殺人事件 ( 中島河太郎編 )

秀作揃いのラインアップ。予想以上に楽しめました。


題名 作者 評点 コメント
振動魔 海野十三 7.0 [昭和6年11月]見当のつく機械トリックを一捻りした結末が良い。
カナカナ姫 水谷準 6.5 [昭和22年12月]主人公像は面白いが、筋書きは平凡。
監獄部屋 羽志主水 8.5 [大正15年3月]新青年傑作選3 恐怖・ユーモア小説編で読了済
完全犯罪 小栗虫太郎 8.0 [昭和8年7月]エキゾティズム溢れる舞台設定に目を見張らされる。殺人オルガントリックと中世的な動機もこの作家ならではである。
偽悪病患者 大下宇陀児 7.5 [昭和11年1月]この作家にしては捻りのある構成で面白く読める。
赤いペンキを買った女 葛山二郎 6.0 [昭和4年12月]新青年傑作選1 推理小説編で読了済
地図にない街 橋本五郎 6.5 [昭和5年4月]幻想的な展開は面白いが、ラストが今ひとつ。
二川家殺人事件 甲賀三郎 7.5 [昭和10年8-9月]二川家の相続事件を友人の弁護士が探る。ミステリ的な興味は薄いが、最後まで面白く読める。
  • 小栗虫太郎は、「立風書房版新青年傑作選」に「聖アレキセイ寺院の惨劇」と「鉄仮面の舌」が採られているが、なぜ「完全犯罪」が入らなかったのでしょう。処女作ということもあって、インパクトが強いように思えるのですが。
  • 甲賀三郎を見直しています。探偵物では、乱歩より面白いのではないでしょうか。

昭和五十二年八月三十日 初版発行 昭和五十三年四月二十日 三版発行