日本代表ミステリー選集01 口笛ふいて殺人を ( 中島河太郎、権田萬治編 )

当時中堅だった作家の作品のレベルが低い。


題名 作者 評点 コメント
おーいでてこーい 星新一 8.0 [宝石 三十三年十月]再読で結末がわかっていたが、よくできた作品。
虚空の男 半村良 6.5 [SFマガジン臨時増刊号 四十二年十月]不思議なテーマで読ませるが、ラストに締まりがない。
探偵小説 横溝正史 7.5 [新青年 二十一年十月]これも再読。楽屋落ち的な展開で楽しく読める。
ハムレット 久生十蘭 7.5 [新青年 二十一年十月]これまた再読。自らをハムレットとして生きる人間が哀しい。
杢平虹(モクヒラアーク) 邦光史郎 6.5 [極秘工場に収録 三十八年九月書き下ろし]地震予知をライフワークにした男の話。悪くはないが日本代表ミステリーに入る作品ではなかろう。
青い群 河野典生 4.0 [オール読物 三十八年十一月]その時代の風俗をテーマにした話はすぐ古臭くなる。今では読むに耐えない。
ある脅迫 多岐川恭 7.5 [宝石 三十二年二月]小心者と思われた男の逆襲が面白い。
肌の告白 土屋隆夫 6.0 [肌の告白(三十四年六月)の為に書き下ろした 短編集]平凡な出来で代表に入る出来ではないでしょう。
妻を深く眠らせる法 藤村正太 5.5 [四十九年三月書き下ろしで単行本に収録]これも平凡なクライムストーリー。
万葉翡翠 松本清張 7.0 [婦人公論 三十六年二月]さすがに清張は読ませる。万葉集を絡めて物語を盛り上げる筆力は、ものがちがう。

見開きにこの選集の紹介があります。

  • この<日本代表ミステリー選集>は、九十人の第一線の作家によって戦後発表されたミステリーの中から、名作の名に値する短篇一二〇篇を選び、全十二巻に編集しました。
  • 従来のミステリーファンに新しい感動と発見を呼び起こし、これからミステリーに親しもうとされるかたがたには、そのすばらしい魅力を十分に知っていただけるでしょう。
    とのこと。

この選集は、1975(昭和50)年から1976(昭和51)にかけて角川文庫から発刊されたものです。すでに45年ほど前になりますが、戦後30年間の日本短篇ミステリーを俯瞰するには格好のアンソロジーでしょう。続けて読んでみようと思います。

昭和五十年九月三十日初版発行 昭和五十一年三月十日三版発行 380ページ 定価380円