日本代表ミステリー選集02 犯罪エリート集団 ( 中島河太郎 権田萬治編 )

後半に面白い作品が揃っている。角田喜久雄の作品には感心した。


題名 作者 評点 コメント
危険な斜面 松本清張 6.0 [オール読物 三十四年二月]清張にありがちな話の設定で結末も平凡。
パリの罠 新章文子 6.5 [小説現代 四十六年一月]海外旅行での殺人計画を練る夫婦と皮肉な結末が面白い。
男か?熊か? 生島治郎 6.5 [三十九年十月発表]面白く読めるが、原典を越える出来にはなっていない。
不思議な母 大下宇陀児 5.5 [ロック 二十二年四月]何のひねりもない平凡な結末。この作品だけ20年代。
三十六人の乗客 有馬頼義 6.0 [オール読物 三十一年十二月]緊張感のある話だが、ラストが今ひとつ。
年輪 角田喜久雄 8.5 [宝石 三十八年十一月]少し出来すぎの感がある因縁話だが、最後まで惹きつけられる。後味も良い。
電話の陰 川上宗薫 6.5 [小説推理 四十九年五月]浮気を邪魔する女の正体にぎくりとする。
動きまわる死体 海渡英祐 7.5 [問題小説 四十六年十月]死体の移動トリックとコミカルな登場人物を絡めて面白く読める。
美しき殺意 平岩弓枝 6.5 [面白倶楽部 三十四年八月]ミステリとしてはたいしたことはないが、女の哀しさをうまく描いている。
三角犯罪 陳舜臣 7.5 [小説セブン 四十五年一月]事件そのものは単純なのだが、ちょっとしたひねりが効いている。
  • 角田喜久雄が旧宝石末期に、こんな小説を書いていたのは意外でした。ミステリを書いていたのは、時代小説が禁止されていた戦後すぐのみというイメージがありましたからね。

昭和五十年九月三十日初版発行 昭和五十八年七月三十日十二版発行 403ページ 定価460円
なんと十二版だ。結構売れていたようですね。