日本代表ミステリー選集04 犯罪ショーへの招待 ( 中島河太郎 権田萬治編 )

「代表ミステリー選集」の名に恥じない読ませる作品揃い。楽しく読めました。


題名 作者 評点 コメント
さらば厭わしきものよ 佐野洋 8.5 [宝石 昭和三十四年三月]夫の殺人を疑う妻は自ら離婚を選ぶが..よく出来た構成で読ませる。
恐山 渡辺啓助 5.0 [宝石 三十五年二月]現代の推理小説(第4巻) 社会派の展開で読了済。
月ぞ悪魔 香山滋 7.5 [別冊宝石 二十四年一月]この作家の中ではよく出来た作品。異国のイメージが良い。
寂しがりやのキング 生島治郎 8.0 [別冊文芸春秋 四十二年十月]女探しの正統派ハードボイルド。久しぶりに味わう好みのテイストだ。
獅子 山村正夫 8.5 [宝石 三十二年十一月]現代の推理小説(第2巻) 本格派の系譜(II)で読了済。
葎生の宿 小松左京 6.5 [週刊小説 四十八年十月九日号]前半は怪談、後半はスラプスティックな展開。家が追いかけてくるというイメージに笑ってしまう。
妖鬼の呪言 岡田鯱彦 8.0 [別冊宝石 二十四年四月]少女の予言はいささかキワモノだが、最後まで引っ張っていく筆力に感心した。
粘土の犬 仁木悦子 5.0 [宝石 三十二年十一月]この程度の証拠では決め手になりようがない。
驟雨 三浦哲郎 3.0 [発表年、初出記述なし]なんだこれは。代表ミステリー選集に選ばれる作品ではなかろう。
単位の情熱 森村誠一 6.0 [週刊小説 四十八年一月五日]森村の作品によくある社畜物。楽しくなる話ではないな。
  • これまで、今一つの感があった「日本代表ミステリー選集」ですが、第4巻は読み応えのある作品が多く、セレクションの良さに感心しました。
  • まずは、最初の佐野洋の作品が素晴らしい。「始めよければ終りよし」ですね。
  • 中盤の山村正夫「獅子」も名作ですが、岡田鯱彦「妖鬼の呪言」も読ませる作品です。「現代の推理小説(第1巻) 本格派の系譜(I)」に収めらえた「噴火口上の殺人」には及びませんが、最後まで読者を引き込む魅力に富む作品です。
  • 残念ながら「終わりよければすべてよし」とはいきませんでした。後半の作品は、いささか尻すぼみの感ありですね。

昭和五十年十月三十日初版発行 昭和五十一年五月三十日三版発行 440ページ 定価380円