日本代表ミステリー選集05 殺しの方法教えます ( 中島河太郎 権田萬治編 )

この巻も読ませる作品が多かった。“清張以降"の作品レベルが上がっていることを体感できました。


題名 作者 評点 コメント
外出した死体 結城昌治 7.5 [オール読物 四十八年二月]紺野弁護士物の一作。短いながら、正統派ハードボイルドならではのムードと展開が良い。
朝の来訪者 笹沢佐保 6.5 [オール読物 四十七年十月]笹沢らしい虚無的な人物設定で読ませるが、ミステリ的な面白さはない。
暗い春 大薮春彦 5.0 [発表年、初出記述なし]大藪の短篇なら、もっと良い作品がたくさんある。これは、単なる習作ではなかろうか。
奈落殺人事件 戸板康二 5.5 [オール読物 三十五年四月]単品としてみるとあまり面白くないミステリ。シリーズ物だから許されるレベル。
六条執念 木々高太郎 5.0 [別冊文芸春秋 二十九年一月]源氏物語の人物に見立てた女に一生を支配された男。暗くて古臭い話。
西村寿行 7.5 [小説現代 四十九年十月]妻を殺された男は老犬と共に捜査に当る。西村に"犬"を書かせたら右に出るものはない。
赤い靴 山田風太郎。 8.5 [講談倶楽部 二十八年八月]現代の推理小説(第1巻) 本格派の系譜(I)で読了済。
空巣専門 原田康子 6.5 [別冊宝石 三十九年二月]殺人現場に居合わせた、こそ泥の語り口が軽快で面白い。
巫女 朝山蜻一 4.0 [別冊宝石 二十七年六月]つまらないSM小説。
青い火花 黒岩重吾 6.5 [宝石 三十五年一月]キャバレーのゴンドラから墜落した踊り子の謎を追う支配人。まとまってはいるが、ひねりのない平板な結末が残念。
日焼けのあと 佐野洋 7.0 [別冊文芸春秋 三十八年一月]妻を亡くした男とその愛人の緊張感あるやり取りが面白い。
  • 解説では、権田萬治が「日本推理作家協会賞受賞作家とその作品」と題し、第一回(昭和二十三年)から第二十七回(昭和四十九年)までの経過を解説しています。

昭和五十年十一月三十日初版発行 434ページ 定価380円