日本代表ミステリー選集07 殺人者にバラの花束 ( 中島河太郎 権田萬治編 )

傑出した作品はありませんが、平均以上の作品揃いで楽しく読めます。


題名 作者 評点 コメント
ルパン殺人事件 野坂昭如 3.0 [小説現代 四十六年七月]結局何もなかったというくだらない話。これが「日本代表ミステリー」とは呆れる。
視線 戸川昌子 6.0 [宝石 三十七年十二月]監視されていると思い込んだ女性は反撃に出るが。ラストのひねりは今ひとつ。
防空壕 江戸川乱歩 7.5 [文芸 三十年七月]前半の空襲描写の鮮やかさと、後半の思わず笑ってしまうオチの対比が面白い。
飢渇の果て 南條範夫 6.0 [宝石 三十五年九月]多情な女を巡る殺人事件。結末は見当がつきます。
アカベ・伝説の島 西村京太郎 7.5 [小説サンデー毎日 四十六年六月]西村の孤島物はどれも読ませる。意外性はないが、よくまとまっている。
ある決闘 水谷準 6.5 [改造 二十六年四月]現代の推理小説(第1巻) 本格派の系譜(I)で読了済。
加えて、消した 土屋隆夫 7.0 [別冊小説現代 四十六年十一月]妻の自殺の真相はなにか、二重の展開が面白い。
赤い密室 鮎川哲也 7.5 [探偵実話 二十九年九月]密室物の傑作と世評の高い作品。若いときには感動した一篇だが、今回読み返してみるとそれほどの出来ではなかった。再読はきついか。
跳びおりる 夏樹静子 7.0 [小説推理 四十八年十二月]復讐のために入り込んだ家政婦の策略は。筋書きは読めるが、ちょっとしたひねりが面白い。
瀬戸のうず潮 梶山季之 6.0 [旅 三十八年四月~六月]この作家には珍しいミステリでトリックも工夫されてはいるが、特に意外性もなく平凡な出来にとどまった。。
  • 解説では、中島河太郎が「本格推理小説の系譜」と題し、戦前からの本格物の紹介をしています。おなじみの内容ですが、さすがにポイントをうまく抑えています。

昭和五十一年一月十日初版発行 昭和五十一年三月十日再版発行 408ページ 定価380円