日本代表ミステリー選集12 犯罪教室ABC ( 中島河太郎 権田萬治編 )

平均的な作品ばかりで、盛り上がりに欠けた一巻でした。


題名 作者 評点 コメント
喘息療法 結城昌治 6.5 [オール読物 三十七年十二月]老夫婦のやり取りと殺意の結果が面白い。
死神に追われる男 新田次郎 7.0 [講談倶楽部 三十六年四月]ひき逃げの男は死を決して山に入るが..。意外な展開と明るいラストが良い。
陶貨 加納一朗 6.5 [推理界 四十二年二月]戦争末期の陶貨にまつわる話は面白いが、結末が今ひとつ。
天使の墓場 五木寛之 6.5 [別冊文芸春秋 四十二年三月]謎の飛行機墜落に巻き込まれた男は真相究明に走る。面白く読めるが、中途半端な結末が残念。
尊属殺人事件 和久峻三 6.0 [別冊小説現代 四十七年十一月]題材は悪くないのだが、謎が説かれていく部分が泥臭くセンスがない。この作者の限界だろう。
歯には歯を 大薮春彦 6.5 [宝石臨時増刊号 三十四年十二月]現代の推理小説(第4巻) 社会派の展開で読了済。
親友記 天藤真 7.0 [宝石 三十六年十二月]常に対抗し競い合う二人の男の話なのだが、妙におかしいラストが良い。
淋しい草原に 高城高 7.0 [宝石 三十三年六月]現代の推理小説(第4巻) 社会派の展開で読了済。
深夜の秘儀 小林久三 6.0 [小説現代 四十九年十月]映画界巨匠の殺人を巡る人物像が典型的であまり面白くない。
月と手袋 江戸川乱歩 5.0 [オール読物 三十年四月]現代の推理小説(第1巻) 本格派の系譜(I)で読了済。
  • これにて「日本代表ミステリー選集」全12巻読了。
    悪くないアンソロジーでしたが、「現代の推理小説(全四巻)」に比べると、印象に残る作品が少なかったという印象があります。このあたりについては、別項でまとめてみましょう。

  • 解説では、権田萬治が「<推理>ノート」としてSFミステリの系譜を解説しています。

昭和五十一年三月三十日初版発行 昭和五十五年八月三十日六版発行 443ページ 定価380円