月下の殺人鬼 宝石傑作集3・怪奇幻想編 ( 中島河太郎編 )

暗く辛気臭い作品にうんざり。


題名 作者 評点 コメント
西瓜畑の物語作者 火野葦平 7.0 [宝石 昭和22年11月]現代の推理小説(第3巻) ロマン派の饗宴で読了済。
魔女マレーザ 水谷準 6.0 [宝石 昭和27年4月]マレーザという謎の女にまつわる幻想譚。結末が今ひとつ。
睡蓮夫人 氷川瓏 6.0 [宝石 昭和28年7月]とある女に気を引かれた男とその夫。結末は平凡。
妖蝶記 香山滋 4.0 [宝石 昭和33年1月]太古からやってきた蝶の化身に溺れる男。つまらん妄想話を長々と読まされる身になってほしいよ。
朧夜と運転手 椿八郎 7.5 [宝石 昭和28年9月]タクシーの運転手の怪談話を、ニ段階に切り返す展開がうまい。
千草の曲 木々高太郎 5.0 [宝石 昭和30年1月]夫殺しの女が裁判官の夢枕に立つという序盤は面白いが、中盤もたつき、ラストはありきたり。
死霊 朝山蜻一 2.0 [宝石増刊 昭和30年3月]暗く趣味の悪い話で吐き気がする。
ある幽霊 三橋一夫 7.5 [宝石 昭和32年1月]明るい幽霊譚で楽しく読める。
断頭台 山村正夫 8.0 [宝石 昭和34年2月]絞刑吏サンソンを演じる役者とフランス革命がクロスする構成で読ませる。
複数の私 菊村到 4.0 [宝石 昭和33年3月]他人格を扱ったつまらない話。
大佐の家 城昌幸 3.0 [宝石 昭和36年9月]脈絡のない話を長々と、うんざり。
  • 変な妄想や暗い話ばかり多くて、読んでいて嫌気がさす作品が目立ちます。山村の「断頭台」だけが傑作選に値する作品でした。
  • 「怪奇幻想編」という分野では、「宝石」より数段「新青年」のほうがレベルが高かったことを痛感しました。

角川文庫 昭和五十四年三月ニ十日 初版発行 昭和五十四年八月三十日 再版発行 338ページ 340円