殺しのダイヤグラム トラベル・ミステリー3 ( 鮎川哲也編 )

島田の中編が読ませるものの、あとは平凡。


題名 作者 評点 コメント
終電車 大島秘外史 3.0 [探偵文学 昭和11年12月]これのどこが面白いのだろう。
恐風 島田一男 7.0 [宝石 昭和26年7月]良いテンポで進むブンヤ物。ちょっと意外な犯人設定が面白い。
自動信号機一○二号 角免栄児 4.0 [宝石増刊 昭和35年2月]とても商業誌に載るレベルではない。
ひかり号で消えた 大谷羊太郎 5.0 [別冊小説新潮 昭和46年4月]発端は面白いのだが、後半尻すぼみ。平凡な出来となってしまった。
歪んだ空白 森村誠一 5.5 [小説サンデー毎日 昭和46年10月]電話トリックによるアリバイ崩しもの。相変わらずの社畜物語である。
寝台特急《月光》 天城一 4.0 [幻影城 昭和51年2月]独りよがりのストーリー展開にうんざり。
グリーン寝台車の客 多岐川恭 6.0 [カッパまがじん 昭和51年9月]寝台車での殺人。人物の談話で進むのは面白いが、ラストが今ひとつ。

この巻では、島田一男の「恐風」以外、見るべき作品はありませんでした。島田は、昭和26年から27年にかけて「恐風」を皮切りに「毒唇」、「魔弓」、「邪霊」など漢字二桁の題名で「宝石」に中編を載せていますが、どれもなかなか読ませます。春陽文庫「特ダネはもらった」で読んでいたことを思い出しました。


徳間文庫 1983年4月15日初刷 316ページ 380円