無人踏切 ( 鮎川哲也編 )
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商業レベルに達しない作品群にうんざり。もうネタ切れでしょう。
題名 | 作者 | 評点 | コメント |
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「雷鳥九号」殺人事件 | 西村京太郎 | 6.0 | [別冊小説宝石 昭和57年5月]さすが鉄道ミステリ大家の中編、トリックはチープだが、楽しく読めます。 |
誰かの眼が光る | 菊村到 | 6.5 | [小説新潮 昭和57年8月]ご都合主義な人物関係は安易だが、予想外の展開で読ませる。 |
虹の日の殺人 | 藤雪夫 | 3.0 | [探偵実話 昭和33年7月]ゴタゴタした展開で読むのがつらい。 |
消えた貨車 | 夢座海二 | 3.0 | [書き下ろし]よくわかりません。 |
やけた線路の上の死体 | 有栖川有栖 | 6.5 | [書き下ろし]トリックは二番煎じだが、しっかりした構成と文章で読ませてくれる。 |
無人踏切 | 鮎川哲也 | 4.0 | [推理ストーリー 昭和37年11月]陳腐なアリバイトリックにうんざり。 |
「死体を隠すには」 | 江島伸吾 | 7.5 | [書き下ろし]いささか動機に説得力が乏しいが、よく考えられているし文章もうまい。 |
親友 B駅から乗った男 | 秦和之 | 2.0 | [書き下ろし]設定が複雑過ぎて頭に入らない。素人くさいひとりよがりの作品。 |
砧最初の事件 | 山沢晴雄 | 2.0 | [書き下ろし]とにかく退屈。読むに耐えない。 |
鮎川哲也を読んだ男 | 三浦大 | 7.0 | [ギルティ136号 昭和55年4月]鮎川愛に満ちたパロディ。ラストも本家「ディクスン・カーを読んだ男」風で笑える。 |
無人列車 | 1953.頃神戸登 | 7.0 | [デイリースポーツ 掲載日不明]見開きショートショート。オチが楽しい。 |
或る駅の怪事件 | 蟹海太郎 | 4.0 | [妖奇小説 昭和26年11月]戦後の雰囲気を感じる作品。 |
暗い唄声 | 山村正夫 | 5.0 | [野性時代 昭和59年11月]出来の悪いドラマのような展開。ぱっとしない。 |
幽霊列車 | 赤川次郎 | 7.0 | [オール読物 昭和51年9月]ミステリーの愉しみで読了済。 |
鮎川哲也編の光文社版鉄道アンソロジー。「下り”はつかり”」、「急行出雲」、「見えない機関車」に続くもので、帯には『旅とミステリーを愛する人へ送る、文庫編み下ろし』とあります。徳間書店からも別のアンソロジーを出しているので、さすがに作品はネタ切れ状態なのでしょう。今回は書き下ろしの作品が少なくありません。さらに同人誌やスポーツ新聞のショートショートまで、「よくぞここまで守備範囲を広げた」と感心します。三浦大「鮎川哲也を読んだ男」など発表誌「ギルティ」とありますが、これは慶応推理小説同好会の同人誌で、この当時はガリ版刷だったのではないでしょうか。
それでも、上記の二作はそれなりに読ませますが、昭和20年代の古い作家の作品など現在ではとても読めたものではありませんでした。あえて言えば、鮎川本人の出来も今ひとつでしたね。
光文社文庫 昭和61年11月20日 初版1刷発行 528ページ 600円