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どっこい人生 角界一型破りだったお相撲さんの話:高橋満矢:サイゾー

栃桜という力士、「のたり松太郎」のモデル?

現役時代の四股名です。最高位が十両四枚目ということで、関取まではいったものの、土俵実績は大したことはありません。
一方、その土俵態度は破天荒で、軍配に不服があれば行司を土俵下まで追っかけまわす、弓取式をすれば弓をへし折る、声援を送る観客には笑顔で手を振って厳重注意を受けるなど、とんでもない問題力士だった模様です。
ちばてつやにもインタヴューを受けたことがあり、自ら「のたり松太郎」のモデルであると語っています。

この本は、現役時代の様々なエピソードを面白おかしく語ったものです。どこまで自分で書いたのかはわかりません。まあ、聞き書きでしょう。

師匠栃錦の人物像

この本の中では、師匠である栃錦、春日野親方の人物像が印象的です。
栃錦といえば、若乃花とともに栃若時代を築いた名横綱ですが、こんな人間味溢れる親方だったとは知りませんでした。

さすがの問題児である作者も師匠には頭が上がらず、げんこつを食らいながらも、その人間性の深さに感服、という感じでしょうか。
晩年、入院していた親方を病院から退院させ、毎日マッサージに通っていた、というエピソードも悪くありません。
でも、少し出来過ぎ、美化し過ぎで、どこまで信用できるかはわかりません。

相撲小説なら

わたしは小さい頃から相撲好きで、小学校に上がる前に、漢字を力士の四股名で覚えていたらしい。
角界を舞台にした小説も何冊か読んでいますが、なんと言っても面白いのは、石井代蔵の作品です。特に「相撲畸人列伝」の中で語られる力士の常人離れしたエピソードの数々には、度肝を抜かれます。

相撲畸人列伝


仮面と生きた男:瀬崎 智文, 沢村 光彦:扶桑社

「仮面の忍者赤影」の主人公であった坂口祐三郎をモデルに、番組を「天空仮面」、名前を坂口光四郎に変えて書いた作品。作者は作中の江崎でしょうね。
正直申し上げて、主人公は好意の持てる人格ではありませんし、肝心のところで亡くなってしまうから、何ら達成感もない。
マネージャーだった(と思われる)作者の苦労には同情しますが、本一冊を読ませるような内容があるとは思えません。


サンデーとマガジン~創刊と死闘の15年~:大野茂:光文社新書

いまは、すべてが懐かしい

一部の時代は、リアルタイムで読者だったせいもあって、楽しく読めました。

わたしが好きだったのは「伊賀の影丸」。初めて読んだのは、ちょうど第四部「七つの影法師」が連載されていた時代です。この当時はサンデーが圧倒的な有利だったようですね。赤塚不二夫の「おそ松くん」もすごかった。寺田ヒロオは藤子不二雄の「まんが道」で、その生真面目な性格が描かれていますが、なるほど赤塚の漫画に激怒したというのはわかる気がする。このころの手塚治虫は、確かに少し影が薄かったかなあ。

エイトマンシールとふりかけ

「エイトマン」は、テレビで見ていました。一番の思い出はふりかけですね。
番組スポンサーである「丸美屋」のふりかけには、「エイトマンシール」がおまけについていました。これを集めるのが流行っていたものです。そのため、毎食必死にふりかけをかけてご飯を食べ、次のふりかけを買ってもらったものです。

一生分のふりかけを食べた気がする

このときほど、ふりかけを食べていた時代はないですね。ノーマルなのりたま風のものと、「すき焼きふりかけ」というのもあったなあ。

当時のTV漫画は食品会社とのタイアップが多かった。「鉄人28号」の主題歌の最後では、みんな「グリコ、グリコ、グリコオ〜」と絶叫していましたね。

その後の展開

個人的に、この後は漫画から離れてしまって、あまり熱心な読者ではありませんでした。
本書では、早川書房との関係や、大伴昌司の企画、怪獣物やウルトラマンなどなど、興味深いものが語られていますが、こみ上げるような郷愁を感じないのが残念です。