EQMM 1961/5 No.59 歴史ミステリ特集

佳作揃い。楽しい時間が過ごせました。でも、「歴史ミステリ特集」がマシスンの「名探偵群像」2作だけでは、いささか物足りないぞ。

題名 作者 評点 コメント
あぶれ者パーティ ヒュー・ペンティコースト 7.5 短い中で人物と田舎社会の描写がうまい。安心して読める作家だ。
夢の猫 リチャード・ロックリッジ & フランシス・ロックリッジ 5.0 猫の目の思いつきだけで書いた感じ。
延着九時間 ハーバート・ブリーン 8.0 バス内の殺人という舞台も面白いし、犯人の設定にも説得力がある。もう少し書き込んだら良かったのに。
鏡もて見るごとく ヘレン・マクロイ 7.5 「暗い鏡の中に」の短編版。謎は素晴らしいが、解決はこれしかない。
世界一のお尋ねもの デイモン・ラニアン 8.0 人物像が楽しい。ラストも笑わせてくれる。
刑事、女難! C・B・ギルフォード 7.5 ネジが一本外れたような老嬢の話は、どれも面白い。
スミス氏奮闘す フレドリック・ブラウン 7.5 さすがブラウン、このトリックには笑った。
正直こそわがモットー フランク・グルーバー 6.5 ラストが今ひとつだが、楽しく読めた。
名探偵スタンレーとリヴィングストン シオドー・マシスン 6.5 毎回凝った舞台設定が楽しい。今回はミステリ的にはすっきりしない。
名探偵ダニエル・ブーン シオドー・マシスン 6.0 同上。2編続けて読むと、新鮮味にかける。
探偵物語 ビリイ・ローズ 6.0 ページ見開きのちょっとした小話。
血の報酬 第二部 小柄な老人 ダシール・ハメット 2.0 ひたすら耐えた。
エレガントな自殺の方法13講 その2 甘き死よ、きたれ ハロルド・メイヤーズ
隣の椅子(31) 有馬頼義
バック・シート 中村真一郎 エリンの「特別料理」と短編小説について
紙上殺人現場(その十七)大井広介
ミステリラウンジ(15) 扇谷正造
ミステリ・オン・ザ・ウェィブ 刺片子 西鶴とミステリ(注)
ミステリニューウェイブ 常盤新平・長島良三 常磐が本国版EQMM20周年を、長島がフランス作家ピエール・アペステギィ「神父の名において」の紹介をしている。
あなたにそっくり(2) テレビタレント「原保美」さんが登場
東京三面鏡(13) 青木雨彦 事件記者日記
探偵小説風物誌 中内正利
表紙 上泉秀俊
カット 吉原澄悦・金森達
ページ 214ページ
定価 150円 地方155円
  • 見開きの編集前記で「週刊誌ブーム」について言及している。
    1956年の新潮社「週刊新潮」を皮切りに、1958年に集英社「週刊明星」、1959年には文芸春秋社「週刊文春」、講談社「週刊現代」、平凡出版「週刊平凡」など続々創刊され、大変なブームが起きていたらしい。
  • (注)NET-MBS系で西鶴物語(木曜夜九時十五分〜九時四十五分)という番組があったとのこと。「新しい表現媒体であるテレビによって、西鶴の奇妙な味を十分に堪能させてもらいたい」としている。
  • これから全ての号が特大号(200ページ超)になるとのこと。EQMM全冊読破、折り返し点を超えたと思っていましたが、枚数的にはまだ中間点まで行き着いていませんね。