EQMM 1961/9 No.63 西部小説特集
ロバート・アーサーを頂点に面白く読める作品揃い。
題名 | 作者 | 評点 | コメント |
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決定的なひとひねり | A・H・Z・カー | 6.5 | それほどのひねりがあるわけではない。 |
殺人のルール | ジャック・フィニイ | 7.5 | 素人探偵アニーの変な推理が楽しい。 |
謎の足跡 | ロバート・アーサー | 8.5 | ミステリとしてもホームズ物のパロディとしてもよく出来ている。 |
恋愛スポーツマン | エミリイ・ネフ | 4.0 | ありふれた趣向でつまらない話。 |
黒い円盤 | ヘレン・マクロイ | 7.5 | 速い展開と少し意外な犯人設定で楽しく読める。 |
駅馬車 | アーネスト・ヘイコックス | 6.0 | あの「駅馬車」の原作らしい。人物描写は巧みだが、ストーリーの面白みに欠ける。 |
あの世から来た男 | マッキンレイ・カンター | 6.5 | 主人公の造形とラストは悪くない。 |
お役所仕事というものは | ルービン・ジェニング・シェイ | 6.5 | 保安官とのやり取りが笑わせる。特集に合う作品とは思えないけど。 |
硝煙の町 | フランク・グルーバー | 6.5 | まさに定型西部劇のような作品。対立する保安官と無法者、街を出るよう促す妻、そして池部良がやりそうな親友。 |
死者には夢を | 膳哲之助 | 7.0 | 佳作。皮肉なラストまで面白く読める。 |
九一三号室の謎 前篇 自殺室 | コーネル・ウールリッチ | これは次号まとめて。 | |
エレガントな自殺の方法13講 その6 死の接吻 | ハロルド・メイヤーズ | ||
西部小説について | 三田村裕 | ||
隣の椅子(35) | 有馬頼義 | ||
紙上殺人現場(その二十一)大井広介 | |||
ミステリラウンジ(18) | 扇谷正造 | ||
ミステリ・オン・ザ・ウエィブ | 「娘一人に婿五人」視聴者が娘でテレビ番組が婿という設定で、何を見るかという話。 | ||
ミステリニューウェイブ | sin | ||
あなたにそっくり(6) | |||
東京三面鏡(17) | 青木雨彦 | 事件記者日記 | |
探偵小説風物誌 | 中内正利 | ||
表紙 | 上泉秀俊 | ||
カット | 上泉秀俊・金森達 | ||
ページ | 214ページ | ||
定価 | 150円 |
- アーネスト・ヘイコックスからフランク・グルーバーまでの4篇は、特集の「西部小説」。
- 第三回EQMMコンテスト詮衡
入選 該当者なし
佳作 死者には夢を:膳哲之助 / 棺:村みつる
今回は座談会ではなく、コメントのみが掲載されています。要するに、ずば抜けた作品はなかったということです。以下略評。
佐藤春夫 7篇とも大いに粒が揃ひ、総じて悪い出来ではないが、みな清新の気に乏しく、特にズバ抜けたものを見ないのはもの足りない。
福永武彦 奇妙な味というか、異色短篇というか、そういう気の利いたものを狙ってやり損じたというものがすくなくなかった。
大井広介 点をつけておいたら50点から60点で、積極的に推奨する収穫はなかったが、ヒドイものもなく、それなりにレベルは良くなり、どれを選ぼうとして乗り気でもない反面、異存もなかった。
都筑道夫 予選通過作品がどれも、いちおう小説らしさをそなえている、という点では、大きな進歩だ、けれど、文句なしに入選というほど、すば抜けたものはなかったわけで、それというのも、ストーリイを思いつくと、すぐ小説にしたててしまうせっかちさに、原因がありそうな気がする。
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「この「日本ミステリ・シリーズ」は、日本作家の手になるミステリの傑作を、読者各位にご紹介sるために、下記のように、ミステリのタイプを6つにわけ、それぞれの分野に最もふさわしい定型的な書き下ろし長編を集録します。小社がミステリ専門出版社の誇りをこめておおくりする、この新しい試みにご期待ください。」とのことです。
第1巻 サスペンスミステリ 「防音装置(仮題)」佐野洋
第2巻 海洋ミステリ 「あざむく海」高橋泰邦
第3巻 倒叙ミステリ 「孤独な共犯者」多岐川恭
第4巻 ハードボイルド 「鷹と森と(仮題)」水上勉
第5巻 本格ミステリ 「翳ある墓標」鮎川哲也
第6巻 スパイスリラー 「ゴメスの名はゴメス(仮題)」結城昌治