EQMM 1962/2 No.68

特選中編と名打ったヴィガーズとウールリッチの出来が今ひとつ。、

題名 作者 評点 コメント
けちんぼの殺人 ロイ・ヴィカーズ 5.0 ただ淡々と事件が語られるだけで、なんの捻りもなく面白くない。
百万ドルの動機 ブレット・ハリデイ 6.0 題名が派手な割には平凡な話。
歌う帽子 コーネル・ウールリッチ 5.0 冒頭出てきた人物はあっさり殺されてしまうし、そこからの展開はご都合主義。
陪審戦術 マイケル・ギルバート 7.0 少し無理があるが法廷での展開が面白い。しかし、当時のイギリスでは、無意識で妻を絞殺した夫が無罪になるうえ、保険金まで受け取れたのだろうか。
十二羽の巨嘴鳥 チャールズ・グリーン 8.0 いつも楽しく読めるバーニー少年シリーズ。今回も期待を裏切らない。最終作らしいのが残念。
ブラック・アンド・ホワイト E・S・ガードナー 6.5 すごく速い展開で進むので、ついていくのに一苦労だ。少し頭の弱い女を利用しながら行動する主人公はなかなかのツワモノだ。
新聞の力 マット・テイラー 7.0 殺人の目撃者が犯人に一杯食わせる方法が面白い。
エジプトからきた旅人 エイヴラム・デイヴィッドスン 2.0 何が書きたいのかわからん。つまらない話。
女豹 第三回 サンセット77 ロイ・ハギンス 感想は最終回に。
エレガントな自殺の方法13講 その11 園芸の醍醐味 ハロルド・メイヤーズ
ダシェル・ハメット ーあるいはアメリカの空間ー ヨシダ・ヨシエ
隣の椅子(40) 有馬頼義
マイ・スイン 丸谷才一 ガードナー「おせっかいな潮」について
紙上殺人現場(その二十六)大井広介
ミステリラウンジ(23) 扇谷正造
ミステリ・オン・ザ・ウエィブ 刺片子 クイズのリバイバル(注2)
ミステリ・ニュー・ウエィブ sin 八十才を迎えたウッドハウス(注2)
あなたにそっくり
東京三面鏡(22) 青木雨彦 事件記者日記
探偵小説風物誌 中内正利
表紙 上泉秀俊
カット 野口久光・勝呂忠
ページ 214ページ
定価 150円
  • 編集前記で、”ホリデイ”についての「お詫び」あり。
    「お詫びというのは、ほかでもない”ホリデイ”のことです。先月号のこの欄で”ホリデイ”のことをよろしくとご紹介したのですが、”ホリデイ”は創刊号で一応休刊ということになりました。直接の原因は、”エド・マクベインズ・ミステリ・ブック”の本国版の発行が途絶したことで、”ホリデイ”がこの雑誌の掲載作品を主体にして編集している以上、これは今後の編集の上で重大な障害になるわけです。」とし、「現在までに発行された本国版の掲載作品をとり入れていっても三号ぐらいは発行できるでしょうし、その後も他の雑誌から作品をセレクトしていけば、発行を続けることは不可能ではありませんが、それでは雑誌の正確に大きな違いがでてきそうです。そういうわけで、創刊号でいさぎよく、休刊にし、また別個の形で発行できる機会がくるまで待とうということになったわけです。」ということです。
    さすがに、1号でおしまいというのは格好悪かったでしょうね。
  • (注1)クイズ番組がまた話題になってきたという。1961(昭和36)年のことです。フジテレビの「ズバリ当てましょう」の成功が大きな刺激になっているとのことですが、テレビ番組の動向は、それから50年経っても変わっていないということでしょうか。
  • (注2)ウッドハウスは好きな作家として、「ガードナーのものならなんでも」とし、「レックス・スタウトやペイパーバックのミステリも盛んに読みまくっている」とのこと。