EQMM 1962/10 No.76 ボクシング小説特集

バラエティに富んだ話が揃っていて、面白く読める号だった。

題名 作者 評点 コメント
ラホーア兵営事件 エイヴラム・デイヴィッドスン 6.5 何が謎なのか筋が取りづらい話なのだが、ラストでうまくまとめている。
もの云う仔牛 ヒュー・ペンティコースト 7.0 家畜の競売場で起きた殺人をめぐる人物像が面白い。後味良くまとめる手腕はさすがだ。
密告謝礼 ハロルド・Q・マスア 6.5 財産と妻を奪った弁護士は、復讐に燃える男を返り討ちにするが、皮肉な結末が待っていた。
絹糸編みのスカーフ ロイ・ヴィカーズ 5.0 単なる言質を取っただけで決め手に欠ける。しかも暗い話でうんざり。
昔むかしの少しあと 都筑道夫 7.5 カチカチ山殺人事件か。笑えます。
懸賞試合 ジャック・ロンドン 3.0 正直言って、何を書きたいのか理解できない。
プロ・ボクサーの死 ロバート・シュワイツァー 6.0 ボクシングビジネスの非情さをうまく描いているが、ラストに何のひねりもないのは残念。
カンザス・シティに帰る アーウィン・ショウ 4.0 わがままな妻に翻弄されるボクサーの話で、単に不快なだけだ。
やっぱり血すじは争えない デイモン・ラニアン 7.5 さすがにラニアン。最後のオチまで楽しく読める。
青いリボン ウイリアム・アイリッシュ 7.0 転落したボクサーの復活話。予想通りの展開だが悪くない
運は異なもの ビリイ・ローズ 6.5 ちょっとした趣向が面白いショートショート。
トラブルはわが影法師 第3部 大陸横断鉄道 ロス・マクドナルド 感想は最終回に。
アンドリュー・ガーヴ論 ヨシダヨシエ
狂乱の20年代(めりけん名勝負物語)ノック・アウト・タイム14秒 大原寿人 デンプシイとタニイ ヘヴィーウェイトタイトル戦での、有名なロングカウントの話
隣の椅子(47) 有馬頼義
マイ・スイン 丸谷才一
紙上殺人現場(その三十四) 大井広介
ミステリ・オン・ザ・ウエィブ 刺片子 (注)ミステリ・ベスト21
ミステリ・ニュー・ウエィブ sin プリーストリイのチャンドラー論その他
あなたにそっくり
東京三面鏡(30) 青木雨彦 事件記者日記
探偵小説風物誌 中内正利
表紙 勝呂忠
カット 野口久光・真鍋博
ページ 218ページ
定価 180円
  • 「懸賞試合」から「青いリボン」の5篇が、「ボクシング小説特集」です。
  • 「E.Q.M.M 世界短篇コンテスト再開!! 賞金総額180万円」とのこと。
    「第5回EQMMコンテスト応募規定」が告示されています。今回の詮衡委員は、開高健、佐野洋、村松剛、結城昌治です。
  • (注)「ミステリ・ベスト21」というのは、NETが金曜夜10:00〜11:00に放送する番組名のようです。この段階で「第二回が放送された頃」と書かれています。下記の作品が取り上げられる模様。

01 菊村到「事件の成立」
02 樹下大郎「期待と名づける」
03 有馬頼義「現行犯」
04 水上勉「銀の川」
05 黒岩重吾「落日の群像」
06 佐野洋「人脳培養事件」
07 梶山秀之「カードは一度戻って来る」
08 石原慎太郎「闇から来る」
09 笹沢左保「結婚てなにさ」
10 戸板康二「いえの芸」
11 横溝正史「白と黒」
12 曾野綾子「能面の家」
13 鮎川哲也「人それを情死と呼ぶ」
14 島田一夫「作並」
15 結成昌治「長い長い眠り」
16 高木淋光「これが法律だ」
17 飛鳥高「細い赤い糸」
18 新田次郎「チンネの裁き」
19 江戸川乱歩「尾根裏の散歩者」
20 多岐川恭「二夜の女」
21 松本清張「濁った陽」

別の話題として、7年3ヶ月続いた「日真名氏飛び出す」TBS(土)夜9:30〜10:00が終了し、新番組「泣くなマックス」にバトンタッチされたとのことですが、この番組は知りませんでした。Webで調べてみると、40話で終了したようです。