EQMM 1963/9 No.87

あっさりした作品ばかりで、いささか味気ない号でした。

題名 作者 評点 コメント
ヨーロッパでいちばんケチな男 ロイ・ヴィカーズ 6.5 ケチな男をペテンに賭ける話だが、後味が良いのが救いだ。
野性の化身 ルイス・ブロムフィールド 3.0 全くつまらない女の話。
詩人の死 エリック・アンブラー 5.0 久しぶりのチサール博士物だが、ぱっとしない。
死のシーン ヘレン・ニールスン 6.0 過去の栄光に浸る一家に入り込んだ男の末路は..。まあ、予想通りでした。
殺人協力者 フレドリック・ブラウン 6.5 ちょっとした小話。
円空の鉈 和久一 7.0 ラストが少しごたついていて、せっかくのどんでん返しが効いていない。惜しい作品。
消音 ウイリアム・フランシス 5.5 ちょっとしたことから犯行が露見する。それだけの話。
びろうどジョニー ピーター・チェイニイ 6.0 過去の殺人を追う刑事と友人に罪をなすりつけようとする男女。年代設定が鍵だったのか。
Y字型の傷痕 ルーファス・キング 7.5 娘の冤罪を信じる夫人は、下宿人の中に殺人者がいると言う。依頼を受けたスター博士の判断はいかに。悪くない出来。
一石二鳥 マイケル・ギルバート 6.5 スパイを片付けた上、さらに有望株までスカウトするというまさに表題通り。
推理 ロード・ダンセイニ 6.0 クロスワードから犯人の範囲を絞るのは面白そうだが、日本人には理解できない展開だ。
水晶の鏡 ホーリイ・ロス 4.0 ヒステリックな妻に食い下がれる男。つまらない話。
女王陛下の007号 第2回 イアン・フレミング 連載終了時にコメント。
ミステリ如是我聞『事実は小説より...』あるいは『素材』 佐野洋
あなたもミステリ作家になれる ホスト(ハーバート・ブリーン) ディレクタ(稲葉由紀) ゲスト(フレドリック・ブラウン、梶山季之、樹下太郎、佐賀潜、陳舜臣) 第三講 プロットはどこから得るか?
暗黒街の系譜(ニューヨークのギャング②) 大原寿人 バウリイの英雄たち
隣の椅子(58) 有馬頼義
マイ・スイン 丸谷才一
紙上殺人現場(その四五) 大井広介
特別料理(その一) 銀仮面
ミステリ・オン・ザ・ウエィブ 刺片子 クイズ雑談
マガジンパトロール RIO ジョルジュ・シムなる若き日のシムノン
ペーパー・チェイス TEN ロマンティック・サスペンス・スリラー
東京三面鏡(41) 青木雨彦 事件記者日記
探偵小説風物誌 中内正利
第五回コンテスト銓衡座談会 開高健、佐野洋、村松剛、結城昌治
表紙 東君平
カット 金森達・前田亜土・麦健次郎
ページ 218ページ
定価 180円
  • 第五回コンテスト」の佳作受賞「円空の鉈」(和久一)が掲載されています。この作品、「ラストをもう少しうまくまとめていれば、もっと良くなったのに」と思わせるところが、いささか残念。悪くない出来で、少なくとも第一回受賞作の結城昌治「寒中水泳」より上だと思います。
  • 好みの問題でしょうが、味気ないクライム・ストーリーばかり読まされていると、ルーファス・キングの「Y字型の傷痕」のような古典的なスリラーは安心して読めます。