EQMM 1963/10 No.88 都会小説特集 パロディ特集シュロック・ホームズの冒険

フィッシュのホームズパロディ、都会小説、スタウトのウルフ物と贅沢なラインアップ。何の文句もありません。

題名 作者 評点 コメント
アダム爆弾の怪 ロバート・L・フィッシュ 8.0 笑ってしまうのが躊躇うような内容だが、これほど大規模なパロディはないな。
アスコット・タイ事件 ロバート・L・フィッシュ 6.0 英文のまま残した訳は説明不足。このままではわからない。
誘拐された王子 ロバート・L・フィッシュ 8.0 推理のやり取りから始まって、陳腐な誘拐事件がしっかり収まってしまうまでが見事。
奇妙な手紙事件 ロバート・L・フィッシュ 6.0 今度はヘタに訳したので、オチがわかりにくくなってしまった。
ダブルおばけの秘密 ロバート・L・フィッシュ 7.0 これはわかりやすいギャグでしたね。
壁をぬけて ヴィクター・カニング 6.0 ちょっとした味わいのファンタシイ。
ゼロの手がかり レックス・スタウト 5.5 データ分析者の殺人事件と病院の爆弾魔の結びつきがあまりに希薄。訳文の日本語がひどいのも気になった。
80ヤード独走 アーウィン・ショウ 7.5 有名なショートストーリイ。なんとも言えない哀愁が漂う。
勝負はどこで? ジョン・オハラ 4.0 これはよくわからない話。
非常識なラジオ ジョン・チーヴァー 6.0 ラジオからよその有様が聞こえてくるという設定は面白いが、ラストがまとまらない。
作中人物 朝倉三郎 5.0 EQMMコンテスト佳作だが、予想通りの展開で平凡な出来。とても入選できる内容ではないし、佳作ですらおこがましい。
女王陛下の007号 第3回 イアン・フレミング
ミステリ如是我聞『紙上殺人現場』あるいは『雑談』 佐野洋
あなたもミステリ作家になれる ホスト(ハーバート・ブリーン) ディレクタ(稲葉由紀) ゲスト(ジョン・D・マクドナルド、笹沢左保、高木彬光、松本清張) 第四講 人物をどう描くか
隣の椅子(最終回) 有馬頼義 ようやく終わった。
マイ・スイン 丸谷才一
紙上殺人現場(その四十六) 大井広介
ミステリ・オン・ザ・ウエィブ 刺片子 堂々巡りのスター論
マガジンパトロール TEN ガーリー・ガーリー・マガジン
ペーパー・チェイス EIO 一九六三年のフランス推理小説対象を受賞した『シンデレラの罠』
特別料理(その二) 銀仮面 前回からの連載だが、面白くない。
東京三面鏡(42) 青木雨彦 早く終わらないかな。
探偵小説風物誌 中内正利
表紙 東君平
カット 勝呂忠・前田亜土
ページ 218ページ
定価 180円
  • 前号の地味なラインアップに比べ、今号はフィッシュのシュロック・ホームズ物5篇、アーウィン・ショウの「80ヤード独走」を含む都会小説3篇、そのうえスタウトのウルフ物250枚という贅沢さ。「前号に少し回せばよかったのに」と思うのはわたしだけではないでしょう。
  • シュロック・ホームズ物ですが、翻訳の難しさは理解はするものの、原文のまま放置してしまったもの、日本語にオチを含めて訳してしまったものなど、もう少しなんとか工夫してほしかったですね。
  • スタウトの「ゼロの手がかり」ですが、作品の出来そのものも大したものではないのですが、それ以上に日本語の言い回しにおかしい部分が多く、気になって集中できませんでした。今号は妙に翻訳が気になってしまう。
  • 第五回コンテスト」の佳作受賞2作のうち、前後に載った「円空の鉈」(和久一)が悪くない出来だったので、今号の「作中人物」(朝倉三郎)にも少し期待をしていたのですが、こちらはありふれた展開で、なんのひねりもない平凡な作品だったのが残念。
  • 長期連載だった「隣の椅子」(有馬頼義)がようやく終了。