EQMM 1963/11 No.89 文豪特集

ブリーンとショーの作品に救われた号でした。

題名 作者 評点 コメント
真実味 ロイ・ヴィカーズ 5.0 犯行計画も杜撰だし、あばかれる過程もつまらない。
単純な行為 ジョージ・ハーモン・コックス 7.0 短いストーリーだが、思わず笑ってしまう結末が面白い。
協力の問題 ピーター・チェイニイ 6.5 宝石横領事件に乗り込む私立探偵カラハン。出来すぎの展開だが、楽しく読める。
隠された自動車 ハーバート・ブリーン 7.0 ブリーンには珍しい200枚の中編。自動車販売店を舞台にした複数殺人事件で、ミステリとしては意外性のない展開が残念だが、好感持てる主人公像が良い。
正義の必要経費 レフ・トルストイ 5.0 文豪が書いたコントというだけ。
馬泥棒 アースキン・コールドウェル 2.0 何というつまらない話。
歩く墓場 ジョージ・バーナード・ショー 7.0 一人称の語り口と痛快な結末が楽しい。
イングランド好日 イーヴリン・ウォー 5.0 この結末は予想通り。
人の心は スーザン・シヤーズ 2.0 これもつまらない話。
女王陛下の007号 第4回 最終回 イアン・フレミング 4.0 荒唐無稽の陰謀と、退屈な展開を長々と読まされました。
ミステリ如是我聞『知っちゃいねえんだ』あるいは『推理小説の衰退』 佐野洋
あなたもミステリ作家になれる ホスト(ハーバート・ブリーン) ディレクタ(稲葉由紀) ゲスト(アントニイ・バウチャー、権田萬治、多岐川恭、鮎川哲也) 第五講 あなたと書評と書評家と
マイ・スイン 丸谷才一
紙上殺人現場(その四七) 大井広介
ミステリ・オン・ザ・ウエィブ 紅善人 紅葉するか? マンガ映画
マガジンパトロール HAG 健在なり、EQMM本国版
ペーパー・チェイス TEN 野心的失敗作
特別料理(その三) 銀仮面 藤村正太「孤独のアスファルト」
東京三面鏡(43) 青木雨彦 事件記者日記
探偵小説風物誌 中内正利
表紙 東君平
カット 勝呂忠・上泉秀俊・前田亜土・浦久保賢樹
ページ 218ページ
定価 180円
  • 「文豪ミステリ」特集ということで、いささか嫌な予感がしていましたが、ショーの作品の出来がよく、ホッとしました。
  • ブリーンは先に読んだ「延着九時間」という作品が記憶に残っています。残念ながら、今号の作品はそれには及びませんが、200枚を超える枚数を一気に読ませてくれました。長編はすべて訳されている作家ですが、中編で未訳のものはないのでしょうか。
  • フレミングの007物を読むのは、遠い昔の「ロシアから愛を込めて」以来でしたが、こんなレベルを読まされるのはたまりません。まあ、後期の作品だから致し方ないのでしょうが、これからの長編分載をスキップしたくなりました。