EQMM 1964/2 No.92

マクベインにギャスキル、そしてエッセイの充実が目を引きます。

題名 作者 評点 コメント
天井から血が… ロイド・ビッグル・ジュニア 7.0 天井から落ちてくる血の意味が面白い。
村の物語(1) 市の立つ日 L・E・ビーニイ 5.0 働き者の女が夫殺害に至るだけの話なのだが、これは序章なのかな。よくわからない。
甘い殺人 ピーター・チェイニイ 6.0 酷評された詩人の相談に乗った男が語る奇妙な昔話。筋書きは見当がついてしまう。
絵画蒐集家 フランクリン・P・アダムス 6.0 見開きショートショート。オチが決まっていない。
法王のスープ ピエール・ヴェリ 3.0 ユーモア物なのだろうが、しらけるだけの出来。
ひのき舞台 バーニイ・ナグラー 5.0 つまらないボクシング小説。
メグレ夫人の恋人 ジョルジュ・シムノン 5.0 解決がスパイ騒動とは興醒めである。
ガーステン裁判 ゴードン・ギャスキル 8.0 実験事故に気がついた妻は自らを生体実験に差し出す。殺人罪に問われた夫は..。ラストは予想できるが、題材の面白さを評価したい。
心変り ロバート・ブロック 6.5 年老いた時計屋の娘に恋をした男は結婚を迫るが..。ちょっと怖いね。
八千万の眼 エド・マクベイン 6.5 テレビ放送中に毒殺されたコメディアン。もちろん一気に読ませるが、トリックは平凡。
ミステリ・この優雅な娯楽 スティーブン・リーコック ユーモアスケッチ
くたばれハードボイルド(終回) トーマ・ナルスジャック
匿名座談会 あなたもミステリが褒められる '63年国産探偵小説品さだめ
世界未解決事件簿 夜の十字架 青木雨彦
ミステリ英雄の横顔 007号の生活と意見 白岩義賢 新連載
ハードボイルド・ミステリィ・マガジンを悼む 小鷹信光 廃刊となった雑誌追悼文
極楽の鬼 石川喬司
紙上殺人現場(その五十) 大井広介
わが翻訳ことはじめ 佐倉潤吾
ミステリ・オン・ザ・ウエィブ 刺片子
やじうま世界展望 葬儀屋は花ざかり 川添忠雄
野暮な話 rock
閑人雑記帖 木村荘十
マガジン・パトロール TEN 香港偵探小説界巡羅
ペーパー・チェイス イ*ン・フ*ミ*グ「アリゲーター」
探偵小説風物誌 中内正利
響きと怒り
表紙 勝呂忠
カット 勝呂忠・真鍋博・佐藤努・金森達・田中武柴・浦久保賢樹・田中邦雄
ページ 218ページ
定価 180円

見開きの編集前記で、

本誌のライバル誌といえば、ヒッチコック・マガジンと、マンハントの名をあらためたハードボイルド・ミステリ・マガジンでした。それが、昨年のうちに、二誌とも姿を消してしまったのです。

と、ライバル誌の廃刊を嘆いています。その危機感もあるのでしょうか、珍しく「読者アンケート」用のはがきが添付されています。内容はこんな感じ。

  • 今月号で面白かった作品を3篇順にあげてください。
  • あなたの好きな作家を5人その順にお書きください
  • どういう作品がお好きですか? ○で囲ってください。
    本格 ハードボイルド 警察小説 ユーモア その他
  • 長篇連載または長篇の一挙掲載をご希望ですか
  • ミステリ以外の翻訳小説の掲載についてどうお考えですか
    ①のせた方が面白い ②のせない方がよい
  • 小説以外のコラム、エッセイについて
    ①多すぎる ②適当 ③もっと多く
  • 創刊号から本号での全掲載作品中からあなたのベスト3をお選びください。

編集部が確認したいのは、「長編連載」、「ミステリ以外の掲載」、「コラム、エッセイ」についてでしょう。これらは、明らかにこのところのEQMMがめざしている方向なので、その検証といったところですかね。結果の発表はあるのかな。