EQMM 1964/4 No.94 ユーモア特集

出来の悪い作品群にいささかうんざり。

題名 作者 評点 コメント
愉しみの館 レイ・ラッセル 5.0 完璧なモデルの写真を無料で入手した編集者。結末はよくあるやつだ。
指きりげんまん 村の物語(2) L・E・ビーニイ 3.0 気持ちの悪い話。これがシリーズとは品性を疑う。
フリントのダイアモンド ヴィクター・カニング 7.0 盗んだダイヤを監房の中に隠した男は、それを取り返すべく画策するが..。ラストが妙におかしい。
美しかった昨日 ロアルド・ダール 4.0 よくわかりません。
香港宝石の謎 ジェイムズ・ホールディング 5.0 香港旅行中の宝石盗難事件を素人探偵が追う。ぱっとしない出来。
奇妙な裁判と不運な判事 ロバート・ベンチリー 5.0 題名そのままのショートショート。
ナイジェル・ニール 5.0 沼の不気味さが印象に残るが、それだけ。
ブレイン、我が家へ帰る デイモン・ラニアン 7.0 瀕死の状態で女の家をたらい回しにされる男の姿がおかしい。
女曲馬師 ピエール・カミ 4.0 よくわかりません。
ほんとうの親友 アーネスト・レーマン 6.0 戦友からの電話と待ち構える運命。
少年と警官 ノーマン・ダニエルズ 7.0 地味の警官の葬儀を大々的に執り行うべきと主張する少年。ほのぼのとしたストーリーは悪くない。
ミステリ狂、或いは迷探偵 スティーヴン・リーコック 3.0 一昔前のマンガのようでくだらない
お守りの値段 エイブラム・デイヴィッドスン 5.0 オチがわかりにくいが、第一大戦の発端を暗示しているのかな。
拝啓ロンリイハートさま タルミジ・パウエル 6.0 老人に対する女性の手紙だけで綴った話。展開は予想できます。
幸福の日投資クラブ ジェームズ・M・アルマン 6.0 テレビドラマにありそうな通俗ミステリ。
パル・ジョーイ ジョン・オハラ 3.0 くだくだとつまらないおしゃべりを聞かされるのはウンザリだ。
屋根裏の宝 ロイド・ビッグル・ジュニア 6.0 屋根裏から出てきたヴァイオリンを巡る盗難事件。話の起伏に乏しいが後味が良い。
メグレ警視の回想録(1) ジョルジュ・シムノン
シムノンとスピレイン チャールズ・J・ロロ 百万人のための殺人の形而上学
極楽の鬼 石川喬司
紙上殺人現場(その五二) 大井広介
わが翻訳ことはじめ 都筑道夫
世界未解決事件簿 大久保和郎 プチオ事件
ミステリ英雄の横顔  白岩義賢 87分署への招待(1)
野暮な話
閑人雑記帖 木村荘十
マガジン・パトロール フランス版EQMM
ペーパー・チェイス 瀬テ波垣 翻訳小説の盛況(西ドイツ)
探偵小説風物誌 中内正利
響きと怒り 権田萬治 二月号の「匿名座談会」の中傷をただす
表紙 勝呂忠
カット 勝呂忠・真鍋博・小島洋吉・上泉秀俊・金森達・田中武柴
ページ 218ページ
定価 180円

この号は短い作品ばかりで、数は多いがあまりぱっとしない出来。中には腹が立つようなものまで散見して、盛り上がりに乏しい読書でした。

「読者のお便り」を扱う「響きと怒り」では、権田萬治の『二月号の「匿名座談会」の中傷をただす』だけが掲載されています。まあ、公正を期して掲載したのでしょうが、目くじら立てるほどの内容でもなかろうというのが正直なところ。
反論するなら、もう少しユーモアまじりにでも書けば、それなりに面白いのですが、ただくそまじめに一つ一つ取り上げて書き連ねても、読まされる方はしらけるばかり。これを読めば、「評論家としてのレベルも推して知るべし」と言ったところでしょう。