EQMM 1964/5 No.95

クリスティの中編で満足。

題名 作者 評点 コメント
二世の契り ヘンリー・スレッサー 4.0 妻を殺した男はその再生に怯える。スレッサーにしてはつまらない。
赤毛の巨人 ロバート・L・フィッシュ 6.0 毎度おなじみのホームズ物パロディ。今回のオチは今ひとつ。
神かくし ジュリアン・シモンズ 5.0 消えた殺人者の隠れ場所探しだが、これはわからないだろう。
国会図書館の秘密 エラリイ・クイーン 5.0 こじつけのような連絡手段を取る密輸団を、エラリイが奇妙な論理で見つける話。シュロック・ホームズかと思ったよ。
猫の目 ロバート・L・パイク 6.0 交通事故を装った殺人を暴く警察物。平凡な出来。
呪われた者 デイヴィッド・アリグザンダー 7.5 成仏できない殺人者とそれ以上に呪われた二人の男。設定とオチの面白さで読ませる。
赤いカツラの手がかり ジョン・ディクスン・カー 7.0 再読だがすっかり忘れていたので楽しく読めた。以外な犯人を設定するところがさすがである。
レアーティーズの剣 レイ・ラッセル 5.0 シェイクスピアがわからない人間にはピンとこない。
三匹のめくらの鼠 アガサ・クリスティー 8.0 閉ざされた荘園での連続殺人。テンポの速い展開と意外な犯人。さすがの出来である。
メグレ警視の回想録(2) ジョルジュ・シムノン
血まみれのパルプ・マガジン チャールズ・ボーモント 独占掲載「プレイボーイ」より
極楽の鬼 石川喬司
紙上殺人現場 大井広介
わが翻訳ことはじめ 吉田誠一
世界未解決事件簿 死体がない! 青木雨彦
暗殺者の選択 佐倉潤吾 マッギヴァーンの「A Choice of Assssins」
6年ぶりのクイーン ペイパーバックオリジナルと「盤面の敵」
ミステリ英雄の横顔4 白岩義賢 87分署への招待/2
マガジン・パトロール O マイク・シェーン・ミステリ・マガジン
ペーパー・チェイス O 初版本、珍本ずらり
探偵小説風物誌 中内正利
響きと怒り
表紙 勝呂忠
カット 勝呂忠・真鍋博・小島洋吉・江淵晃夫・金森達・田中武柴
ページ 218ページ
定価 180円

本号は「本格特集」。クイーン、クリスティ、カー、フィッシュ、シモンズの作品がその対象なのですが、メインはもちろんクリスティの中編(200枚)「三匹のめくらの鼠」でしょう。有名な劇の原作で、『ウィキペディア(Wikipedia)』によれば、

『ねずみとり』 (The Mousetrap) は、イギリスの女性推理小説作家アガサ・クリスティの戯曲。1952年11月25日ロンドンのウェスト・エンドにあるアンバサダーズ・シアター(英語版)での初演以来、2020年3月にCOVID-19の流行により公演が中断する[2]まで(1974年3月25日からは隣のセント・マーティンズ・シアター(英語版)にて公演)世界で最も長い連続上演をしている演劇として知られている。

とのこと。
解説によると「同人誌に抄訳が発表されたことはあるが、実質的には本邦初訳」とのことですので、読者に歓迎されたであろうことが容易に想像できます。筋書きをある程度知っている現在読んでみても、十分楽しめる出来でした。

前説で前編集長の小泉太郎が「傷痕の街」という長編を発表とのニュースあり。生島治郎の誕生ですね。