EQMM 1964/6 No.96

スタウト、フレミング、シムノン、どれも冴えません。

題名 作者 評点 コメント
ヘクターの喜び ヒュー・ペンティコースト 6.5 法廷で明かされるトリックはチープだが、シリーズ物の強みで読ませる。
夜の銃声 ダシール・ハメット 6.0 発砲事件のあった一家に入り込んだオプ。平凡な出来。
ママの春 ジェイムズ・ヤッフェ 7.0 展開は予想できるが、ママの変な比喩を含んだ推理が楽しい。
おやじの家 レイ・ラッセル 4.0 オチがわかりません。
007号の商略 イアン・フレミング 4.0 オークションからソ連のスパイを突き止めるだけの話。
危険なランデヴー ピーター・チェイニイ 6.5 小品ながら、ちょっとした意外性もあって悪くない。
血の証拠 レックス・スタウト 5.0 ウルフ物の中編。今回は展開に乏しく退屈な出来。
メグレ警視の回想録(3) ジョルジュ・シムノン 3.0 興味のない話を延々聞かされることほど退屈なものはない。
血まみれのパルプ・マガジン(2) チャールズ・ボーモント
トコという男 山川方夫
極楽の鬼 石川喬司
紙上殺人現場 大井広介
わが翻訳ことはじめ 橋本福夫
世界未解決事件簿 ボストンの姿なき絞殺魔 朝村耕造
ミステリ英雄の横顔 5 白岩義賢 87分署への招待(3)
マガジン・パトロール O ヒッチコック氏の生活と意見
ペーパー・チェイス TEN 一級の娯楽ミステリ「悪魔の虫」
探偵小説風物誌 中内正利
響きと怒り
表紙 勝呂忠
カット 勝呂忠・真鍋博・小島洋吉・江淵晃夫・金森達・田中武柴・上泉秀俊
ページ 202ページ
定価 180円

本号の売りは、まずスタウトの中編でしょうが、これがこの作者にしては、珍しく展開が単調な凡作。
その後の控えるのが、フレミングの007物短篇。フレミングの小説は、どこが面白いのか全く理解できません。個人的には退屈の極み。これから長編連載があったり、別冊で「007号特集」があったりと、多難が予想されます。
シムノンのメグレ物も同様。ましてや、今回はメグレの一人称で語るという内幕話なので、本編に興味のない人間にはつらい。読み通すのに苦労しました。

さて、シムノンには絶版本が多いですが、なぜかわたしは簡単に入手できてしまいます。創元の珍しいところも簡単に出てくるし、河出書房のメグレシリーズは、100円均一で50冊一気に拾ってしまったりと、変なめぐり合わせにあります。このシリーズはもう一回同様な形で見たことがあるのですが、さすがに見逃しました。
このまま積読ではまずいと、数冊読み出してはみるのですが、あの短い作品をどう頑張っても最後まで読み通せない。ようするに、わたしの読書レベルは、都筑道夫が言うように「シムノンを読ませると大概その程度がわかる」ということなのでしょう(笑)。このまま持っていても無駄なので、入手したシムノンはすべて処分してしまいました。

この号から、ページ数が218ページから202ページに減っていますね。