EQMM 1964/8 No.98

EQMMレギュラー作家の実力がよくわかりました。

題名 作者 評点 コメント
拳銃よりも強い武器 スタンリイ・エリン 6.5 没落富豪夫人がヤクザ相手に打ったバクチ。ラストは今ひとつ。
逃げるなら逃げてみろ シャーロット・アームストロング 5.0 ひき逃げの怯える男は車と土地を交換しようとするが。つまらない展開。
三人寄れば ヴィクター・カニング 7.0 いつも楽しいミネルヴァ・クラブシリーズ。
サンセット・キッド ベン・ヘクト 6.5 陽気なパクリ屋の話。ラストはホロリとさせられる。
災いを交換する店 ロード・ダンセイニ 4.0 思わせぶりなだけで今ひとつ。
一杯が命とり デイヴィッド・アリグザンダー 6.0 アル中から立ち直った男のもとに、暴漢が押し寄せる。オチは今ひとつぱっとしない。
犯罪気ちがい スチュアート・パーマー&クレイグ・ライス 7.0 病院送りのマローンに代わって、今回はミス・ウィザースが活躍。楽しく読めます。
十二番シートの男 ヒュー・ペンティコースト 7.5 主人に忠実な男は彼の妻が浮気性であることを知る。ある日、その彼女が行方不明になってしまうのだ。さすがペンティコースト、最後まで面白く読ませる。ただ、ラストにもう一つのヒネリがあったら、すごい作品になったかもしれない。
007号は二度死ぬ(2) イアン・フレミング
血まみれのパルプ・マガジン(3) チャールズ・ボーモント
コラムニスト登場 ハイ・ガードナー
駑馬に賭ける 生島治郎
ベン・ヘクト追悼 中田耕治
トコという男(3) 山川方夫
極楽の鬼 石川喬司
紙上殺人現場 大井広介
わが翻訳ことはじめ 永井淳
ミステリ英雄の横顔6 白岩義賢 暴力の選民ハマー
マガジン・パトロール K ミステリ・ダイジェスト
ペーパー・チェイス ヘンリイ・ファレルの第三作
探偵小説風物誌 中内正利
響きと怒り
表紙 勝呂忠
カット 勝呂忠・真鍋博・江淵晃夫・小島洋吉・田中武柴・上泉秀俊
ページ 200ページ
定価 180円

エリン、パーマー&ライス、ペンティコーストの三作品が読めれば、文句の言いようがないでしょう。エリンの作品は、彼のレベルを考えれば少し落ちますが、それでも読者を惹きつける筆力は大したものです。

前説によると、訳者の井上一夫が急病で、「007号は二度死ぬ」の連載が3回になってしまったとのこと。2回目の今号は20ページほどの分量となっています。