EQMM 1964/12 No.102 ハードボイルド小特集

巻末の中編が退屈の極み。これですべてが台無しに。

題名 作者 評点 コメント
コーヒー・ハウス狂騒曲 エイプリル・アーロンズ 4.0 脚本をルームメイトに盗まれた女性と恋人。展開が素人臭く、とても商業レベルでない。
わが家の幽霊 ジョージ・サムナー・オールビイ 6.5 真っ昼間に現れた幽霊たちは家の売却を相談しているのだが。逆転のオチは少し面白い。
放火罪および… ダシール・ハメット 7.5 放火を巡る陰謀を洗い出すオプ。短い中にヒネリもあって、よく出来ている。
他人の身 ヒュー・ペンティコースト 7.0 レイクビューのジョージ伯父物。ミステリとしては大したものではないが、楽しく読めます。
殺人会社 リチャード・デミング 8.0 殺人会社に潜入したFBI捜査官。ラストのちょと意外な展開まで読ませる。
000奇々怪々 都筑道夫 7.0 講談風仕立ての007物パロディ。さすが都筑、よく出来ています。
パル・ジョーイ 巻之三 ジョン・オハラ 3.0 くだらない話を古臭い訳で読まされては、たまったものではない。
鉄の肺のなかで ヴァーン・ゴーデル 6.0 暗黒街の大物が誰も入室できない病室で殺される。まあ、解決はそんなところでしょう。
借りはかえす ピーター・チェイニイ 7.0 離婚調査を完了した私立探偵の元に、夫から買収の誘いがくる。ラストのヒネリが面白い。
さよなら、ピカデリー ジョン・P・マーカンド 2.0 つまらない会話ばかりで話が全然進まない。退屈の極みである。
死ぬのはあいつだ 生島治郎 架空対談
ジェームズ・ボンド事典 大伴昌司
名探偵は誰か? 萩原閑子 懸賞
女流翻訳家世界を行く 小尾芙佐 これから3回連載とのこと
デイヴィー会見記 IMF総会に出席した探偵作家
フレミングと映画 待たれる「ゴールドフィンガー」
トコという男(6) 山川方夫
極楽の鬼 石川喬司
紙上調停 大井広介 佐野洋と匿名批評との調停らしい
わが翻訳ことはじめ 田中小実昌
ペーパー・チェイス 小鷹信光 アメリカのスパイ小説(2)
ミステリ英雄の横顔 白岩義賢 共に悩むリュー・アーチャー
探偵小説風物誌 中内正利
響きと怒り
表紙 勝呂忠
カット 勝呂忠・真鍋博・竹久不二彦・小島洋吉・田中武柴・杉村篤・新井苑子
ページ 202ページ
定価 190円
  • 1964年の最終号。今年は007に代表されるようにスパイ物が隆盛だったようです。この辺りについては、次回総括しましょう。
  • この号、中盤の作品はなかなか面白かったのですが、巻末のジョン・P・マーカンドは、つまらない会話と回想シーンばかりでウンザリ、200枚という長さが絶えられないほどの出来でした。これで、すべてがスポイルされてしまいましたね。
  • 「IMF総会に出席した探偵作家」というのは、ポケミスで「花火と猫の総督」の作者であるジョスリン・デイヴィーのことで、早川書房を訪れた後、相撲見物するところが報告されています。
  • 萩原閑子「名探偵は誰か?」は、見開き2ページの探偵の名前を当てる懸賞小説。賞品は「アスパラ30錠5個入り」を二十名様とのこと。これから数回続くようです。