EQMM 1965/1 No.103

平凡な作品ばかりで盛り上がりません。

題名 作者 評点 コメント
紫色の風景画 ドロシー・ソールズベリ・デイヴィス 5.0 火事のドサクサに美術館からモネを持ち出した女。ラストがつまらない。
ファットファットの精神感応 リリアン・J・ブラウン 6.0 シャム猫ファットファットの冒険。
注文通りの客 ドナルド・E・ウェストレイク 5.0 考えオチだとおもうが、わかりにくいな。
フォードに乗ったサンタクローズ マッキンレイ・カンター 5.0 サンタロースに扮した男に殺人の容疑がかかる。結末に説得力がない。
いかにして? いつ? だれが? フレッチャー・フローラ 6.5 この作者にしては珍しいパズラー。毒殺トリックが面白い。
幽霊の引越し フランクリン・R・ストックトン 6.5 幽霊になれなかった幽霊と恋に悩む男の出会い。設定が面白い。
ある密室 ジョン・ディクスン・カー 6.5 不可能設定は面白いが、解決は今ひとつ。それでも読ませるのはさすが。
うろつくシャム人 ダシール・ハメット 4.0 話がゴタゴタしていて筋が取り難い。
サーストン氏よ、ありがとう エド・デュモント 6.0 売れない画家は著名な画商に会うために、彼の肖像画を描く。ラストは悪くないが、もう一捻りほしい。
小さな共犯者 アーサー・ポージス 6.0 研究室からの盗難事件。方法は面白いが、伏線が引かれてないのが残念。
大棚ざらえ ロジャー・トーリー 2.0 とても読むに耐えない。
ぼやけた影 ゴードン・ギャスキル 6.0 今回はモンテクリスト島を舞台にした作品。カメラマンの殺人事件に麻薬取引が絡むが、ミステリとして弱くストーリー展開も平板である。
秘密結社の手帖1 澁澤龍彦 秘密結社の輪郭
名探偵は誰か? 萩原閑子
女流翻訳家世界を行く(2) 小尾芙佐
トコという男(7) 山川方夫
極楽の鬼 石川喬司
紙上殺人現場 大井広介
リオの男 山下諭一 映画「リオの男」について
陪審席 ロス・マクドナルドの印税計算
ペーパー・チェイス 小鷹信光 アメリカのスパイ小説(3)
探偵小説風物誌 中内正利
響きと怒り
表紙 勝呂忠
カット 勝呂忠・真鍋博・小島洋吉・田中武柴・杉村篤・新井苑子
ページ 202ページ
定価 190円

今回の目玉は、巻末のロジャー・トーリー「大棚ざらえ」とゴードン・ギャスキル「ぼやけた影」の2中編なのでしょうが、前者は読むに耐えない出来で、うんざりさせられました。その口直しとしてのギャスキルですが、相変わらずエキゾティックな舞台設定で楽しく読めましたが、ミステリとしては平凡。EQMM最後の登場作品としては、いささか不満足な結果となってしまいました。

他の作品もあまり印象に残らない平凡作が多く、このところのEQMMの低調ぶりを1965年も引きずってしまうのでしょうか。