EQMM 1965/2 No.104

作品レベルの違いが目立つ号でした。「読者へのお年玉」のはずのシモンズにウンザリ。

題名 作者 評点 コメント
トロイの木箱 ヴィクター・カニング 6.5 犯罪者の集まり、ミネルヴァ・クラブ物。いつも楽しいお話である。
あたしを信じて デイヴィス・グラッブ 4.0 不思議な少女と人形の幻想譚。つまらない。
手先の早業 アガサ・クリスティー 6.5 ポアロ物。トリックはすぐわかるが、さすがにうまくまとめている。
悪魔はきっとくる アーサー・ポージス 8.0 中世を舞台に、妻を魔女として諫言された男の復讐物語。足跡トリックを含めて、良くできている。
どこまでも紳士 ポール・W・フェアマン 4.0 筋書きがミエミエのクライム・ストーリー。
市政浄化のために アーサー・ソマーズ・ロッシュ 5.0 一警部が市政改革のために巨悪を摘発するという何やら大げさな話。
殺人(ホミサイド)のH ローレンス・トリート 7.0 同乗者が失踪したと申し立てる女。短い中で少し意外な展開が効いている。
ウィンブルドン・テニスの謎 ジュリアン・シモンズ 4.0 ウィンブルドンからスター選手の失踪という発端は悪くないが、ここに共産主義国家の陰謀が絡んでくると途端にしらける。展開も平板でつまらない。
蛇 第1回 ミッキー・スピレイン
秘密結社の手帖2 澁澤龍彦 原始民族の結社とその名残り
名探偵は誰か? 萩原閑子
トコという男(8) 山川方夫
極楽の鬼 石川喬司
紙上殺人現場 大井広介
女流翻訳家世界を行く(3) 小尾芙佐
ペーパー・チェイス 小鷹信光 アメリカのスパイ小説(最終回)
陪審席 L 「寒い国からきたスパイ」について
探偵小説風物誌 中内正利
響きと怒り
入選発表 第6回コンテスト
表紙 勝呂忠
カット 勝呂忠・真鍋博・上泉秀俊・田中武柴・杉村篤・新井苑子
ページ 200ページ
定価 190円

「第六回EQMM短篇コンテスト入選発表」が掲載されています。

入選
第一席(賞金五万円)    会議は踊る 土井稔
第三席(賞金各二万五千円) 解毒剤   宇美吉彦
第三席(賞金各二万五千円) 一変の真実 広乃美智

「第一回の結城昌治氏以来、ここにめでたく二回目の受賞者を出した」とのこと。次号に掲載されるようなので、期待しておきましょう。ただ、この人もその後作家として独り立ちしたわけではなさそうなので、さてどんなものでしょう。

今号では、ポージスの「悪魔はきっとくる」が珠玉の出来でした。これで目玉のシモンズの200枚が面白ければ文句なしだったのですが、結果は見てのとおり。もう一つの売りは、ミッキー・スピレインの連載「」。これは連載終了後に読む予定ですが、正直気が重い。フレミングに続いて「EQMM全号読破への試練」なのでしょうか(笑)。