EQMM 1965/3 No.105

グルーバーとベンスン、2篇楽しめれば良しとしましょう。

題名 作者 評点 コメント
ジェリコとスキー ヒュー・ペンティコースト 6.0 東独からの暗殺者を暴くジェリコ。平凡な出来。
どうしてなんだ、ベニー? フレドリック・ブラウン 5.0 恋人とケンカ別れをした女性は深夜の公園を震えながら歩くのだが..。オチがつまらない。
会議は踊る 土井稔 5.0 不法な遺産分配の話なのだが、ラストを含めて面白くない。これが第1席入選作とは呆れる。
夜の狐 ロバート・サマロット 4.0 メキシコの田舎町で起きた吝嗇でセコい店主殺人事件。解決までがセコい。
つぎの質問をどうぞ フランク・グルーバー 7.0 人間百科事典クエイド(この作品ではケイドとなっているが)シリーズ。楽しく読めます。
讃うべし、シェークスピア ジュリアン・シモンズ 5.0 シェイクスピアネタはよくわかりません。
過去のある女 ベン・ベンスン 7.5 過去の殺人容疑をかけられた女を採用した男は、新たな事件に巻き込まれていく。一気に読ませるが、事件が単純すぎる。もう一ヒネリほしいところ。
蛇 第2回 ミッキー・スピレイン
秘密結社の手帖3 澁澤龍彦 古代における密儀宗教の団体
佐倉潤吾氏追悼 田中西二郎・生島治郎
「アメリカ暗黒史」と私 小鷹信光
名探偵は誰か? 萩原閑子
トコという男(9) 山川方夫
極楽の鬼 石川喬司
紙上殺人現場 大井広介
第6回EQMMコンテスト 銓衡座談会 村松剛・佐野洋・結城昌治・生島治郎
欠席の弁 開高健
探偵小説風物誌 中内正利
響きと怒り
表紙 勝呂忠
カット 勝呂忠・田中武柴・杉村篤・新井苑子
ページ 202ページ
定価 190円
  • 今号では、第6回EQMMコンテストの「銓衡座談会」と第一席入選作土井稔「会議は踊る」が掲載されています。第一席入選は結城昌治以来ですから、期待して読んでみたのですが、作品の出来はさほどのものとは思えませんでした。このコンテスト自体もここで消滅しまうようなので、結果的には尻すぼみといったところでしょうか。
  • この号では、ベン・ベンスンの中編「過去のある女」が一人称で書かれたストレートな小説で、感情移入がしやすく一気に読ませます。ただ、事件そのものが単純で、主人公の行動も感情に流されるだけなので、ミステリとしての面白さにかけるのが残念でした。
  • それに次ぐのが、フランク・グルーバーの「つぎの質問をどうぞ」。この作品、探偵人間百科事典では訳されなかったのですが、原書「Brass Knuckles」では最初の作品なので、このコンビのデビュー作なのかもしれません。