EQMM 1965/4 No.106

カンターの作品を筆頭に、時代物の佳作が揃った号。楽しく読めました。

題名 作者 評点 コメント
007号 黄金の銃をもつ男 前篇 イアン・フレミング 次号完結
月のちから アーサー・ゴードン 6.5 タイムスリップを扱った幻想譚。悪くない出来。
編集長は危険な稼業 リー・フォスター 7.5 夫を殴り殺した女は愛人の弁護士を呼んで状況を説明するのだが..。オチが笑えます。
消えたダイアモンド エドマンド・クリスピン 5.0 ダイヤモンド紛失事件をフェンが追う。結末がすっきりしない。
ゆえに問うなかれ トマス・B・デューイ 4.0 辛気臭く宗教めいた話。
ウィル・F・ジェンキンス 7.0 西部が舞台の人情話。ホッとさせるラストが良い。
名探偵さん、ようこそ マーチン・ガードナー 6.5 市長の息子のおもりをさせられた警官。その探偵ぶりに振り回されるのがおかしい。
アネモネはそよぐ マッキンレイ・カンター 8.0 1860年代に行方不明になった父と兄を持つ医師が過去の謎を解く。展開がうまい。
判事は英雄だった ウイリアム・フェイ 7.0 かつて暴漢を撃退した判事に新しい事件が襲いかかる。清々しいラストが良い。
ライオンをわらう男 ブライス・ウォルトン 6.0 かつて無謀なハンターだった男の妻は、ガイド役に相談するのだが..。舞台設定は面白いが、結末は平凡。
蛇 最終回 ミッキー・スピレイン 5.0 前半の展開がわかりにくいうえ、犯人はミエミエ。でも、それなりに読ませる。
秘密結社の手帖4 澁澤龍彦 グノーシス派の流れをひく秘密団体
ソ連の探偵小説 飯田規和
名探偵は誰か? 萩原閑子
トコという男(10) 山川方夫 最終回
極楽の鬼 石川喬司
紙上殺人現場 大井広介
陪審席 R ジョージ・ウォーラーの犯罪実話「誘拐」
探偵小説風物誌 中内正利
響きと怒り
第七回EQMMコンテスト応募規定
表紙 勝呂忠
カット 勝呂忠・真鍋博・田中武柴・杉村篤・新井苑子
ページ 202ページ
定価 190円
  • ミッキー・スピレイン「蛇」の連載が終了。この作品の前半は、マイク・ハマーのカムバックという側面が強いようで、これまでの経過、マイク・ハマー年代記とでもいうものが頭に入っていないとピンときません。「裁くのは俺だ」を数十年前に読んだだけの身には、いささか辛い展開でした。事件そのものは、過去の強盗事件に絡むものなのですが、意外性を狙ったであろう作者の意図はミエミエという感じ。それでも、007よりはマシですね。
  • 今号では、マッキンレイ・カンター「アネモネはそよぐ」を始めとし、ウイリアム・フェイ「判事は英雄だった」、ウィル・F・ジェンキンス「壁」といった少し前の時代を舞台にした作品が掲載されていますが、これらの出来がなかなか良く、時代背景の面白さもあって楽しく読めました。