EQMM 1965/5 No.107 女性作家特集

ショートストーリイはどれも悪くないが、後半の007にうんざり。

題名 作者 評点 コメント
アリバイさがし シャーロット・アームストロング 6.5 強盗の容疑をかけらえた老女は刑事と共にアリバイを探す。彼女のイメージが印象に残る。
一片の真実 広乃美智 7.0 愛人の夫に招かれた男は、冤罪を着せられるはめとなる。ラストは面白いのだが、もう少し効果的に書いてほしかった。惜しい。
消えた頭取 ヘレン・マクロイ 6.0 大金を横領して逃走した男は、飛行機の中で消え失せてしまう。「読者への挑戦」までついているショートストーリーだが、出来は今ひとつ。
目撃者 エド・マクベイン 7.5 殺人の目撃者は面通しの前に急に帰ると言いだす。考えオチが面白い。
ただの肉 ジャック・ロンドン 5.0 最終ページが切り取られていた。結末がわからないが、大した話ではないと思う
ご静粛に願います ウイリアム・ノース・ジェイム 4.0 何が書きたいのかよくわからない。
誰がための涙 クリスチアナ・ブランド 5.0 ベースとなる史実があるのだろうが、それに疎い人間にはよくわかりません。
世界一美しいモデル ノーマン・ダニエルズ 7.0 すべての男を魅了するモデル。ラストのオチは想像通りなのだろうか。
シン・シン刑務所を脱獄する法 ロバート・ハーディン 6.5 脱獄を諦め仮出所を狙う計画変更をした男が、なかなか面白い。
夢遊病者の悲劇 ピエール・カミ 4.0 こういうコントを面白いと思える時代があったのだろう。
0004号は死の番号 青木秀夫 3.0 つまらんパロディ。
007号 黄金の銃をもつ男 後篇 イアン・フレミング 3.0 よくこんなつまらん話を長々と書くよなあ。
秘密結社の手帖5 澁澤龍彦 薔薇十字団
山川方夫氏追悼 坂上弘・中原弓彦
名探偵は誰か? 萩原閑子
極楽の鬼 石川喬司
EQMM五番街 大伴昌司
紙上殺人現場 大井広介
探偵小説風物誌 中内正利
陪審席
響きと怒り
第七回EQMMコンテスト応募規定
表紙 勝呂忠
カット 勝呂忠・田中武柴・杉村篤・新井苑子・伊藤誠一
ページ 202ページ
定価 190円
  • 今号の目玉はフレミングの遺作「黄金の銃をもつ男」なのでしょうが、これがもう退屈としか言いようのない出来。最後は飛ばし読みでなんとか乗り切りましたが、よくこれだけ長々と書けるものだと感心してしまいました。おまけにつまらんパロディまであるときては、本当に勘弁してほしいものです。
  • それと比較して、前半のショートストーリイは中々の佳作揃い。とくに、エド・マクベインの「目撃者」が面白いオチ。オチと言えば、ノーマン・ダニエルズ「世界一美しいモデル」のラストはどうなのだろう。わたしが想定したとおりだとしたら面白いのだけど。わからないような感想を書いて申し訳ありません。
  • EQMMコンテスト第三席となった広乃美智の「一片の真実」は、EQMM 1965/3 No.105に載った第一席入選作土井稔「会議は踊る」より、数段出来が良いと思います。ただ、ラストにもうひと工夫欲しかったところ。
  • 次号は別冊で「007号特集」。先が思いやられます。