EQMM 1965/6 No.109

エリン、ダール、久方ぶりのEQMMテイストを味わう。

題名 作者 評点 コメント
127番地の雪どけ スタンリイ・エリン 6.5 寒さに凍える住人が家主に取った手段は..。語り口は面白いが、結末は平凡。
罠に落ちたドラマー ロバート・L・フィッシュ 6.0 シュロック・ホームズ物。この筋書きは翻訳不能だな。
小春びより L・E・ビーニイ 5.0 後味の悪い残酷な話。
赤い手帖 山川方夫 4.0 男女の筆談ノートを拾った男。盛り上がりのないつまらない話。
セイント闇に溺れる レスリー・チャータリス 6.5 夢を見ているという男がセイントの山荘に転がり込んでくる。謎の美女と彼らを追う男たち。不思議なお伽噺だが悪くない。
犬にご注意 ロアルド・ダール 6.0 脚を失った飛行機乗りは病院に収容される。すっきりしない話。
消えたピアノ マッキンレイ・カンター 7.5 ピアノが消えた謎解きを頼まれた素人探偵。彼は見事に解き明かすのだが。結末が笑えます。
雪嵐殺人事件 フィリップ・ワイリー 7.0 共同経営者殺しを着せられた男は秘書の力を借り事件の真相に近づく。あまり意外性はないが、こういう展開は好みだ。
マーロウ最後の事件 レイモンド・チャンドラー 6.0 組織を抜けたい男がマーロウのもとにやってくる。男を無事に逃したマーロウだったが..。筋書きは読めてしまう。
フレミングの死を悼む セント・バーソロミュー教会におけるイアン・フレミング追悼会にて ウィリアム・プロマー
秘密結社の手帖6 澁澤龍彦 フリー・メイソン
掌篇の典型 江藤淳 山川方夫について
一視点一人称 結城昌治 ハードボイルド論
生みたての弁 生島治郎
自殺のユーモア 草森伸一 マンガ殺人学ノート
EQMM5番館 大伴昌司 映画評
かくれ場所 梅田秀俊
ぶっくす&まがじん アメリカのジャンル別出版事情
名探偵は誰か? 萩原閑子
極楽の鬼 石川喬司
紙上殺人現場 大井広介
探偵小説風物誌 中内正利
陪審席 3 ジョン・ル・カレ「寒い国からきたスパイ」について
響きと怒り
表紙 勝呂忠
カット 勝呂忠・真鍋博・田中武柴・杉村篤・高野鉱造・金森達・伊藤誠一
ページ 202ページ
定価 190円

序盤にエリン、中盤にダールの短編があり、終盤にはワイリーの本格中編、さらにはチャンドラーとくれば、文句を言ってはバチがあたるというもの。これが本来のEQMMですね。007から離れられただけでも幸せです。