EQMM 1965/8 No.111

レベルの低い短編とうんざりする長編。なんとも言い難し。

題名 作者 評点 コメント
罪の報い L・E・ビーニイ 4.0 脱獄した死刑囚を匿う少年。なんのひねりもないラスト、平板な展開。
ジズル ジョン・ウインダム 6.5 天才的な猿を入手した男は見世物で財を成す。猿に踊らされる男たちが笑わせる。
秋の鐘 廣乃美智 5.0 突然別荘を訪れた男は妻の不貞を疑う。設定は面白いのにラストに切れがない。
なんにもしないスパイ エドワード・D・ホック 6.5 メッセージの連絡方法が面白い。EQMMのホック初紹介かな。
消えた財宝 「かつて未刊行」のC・オーギュスト・デュパンの物語 マイクル・ハリスン 6.0 デュパン物の贋作。謎解きがぱっとしない。
老いたる若者の死 ロアルド・ダール 4.0 戦争中の飛行機乗りの話。どこが面白いのかわからん。
街の野獣 ジュリアン・シモンズ 5.0 街の不良少年に悩む男は自警団を作るが。テレビドラマにありそうな話。
スパイは醜悪に死ぬ 後篇 スターリング・ノエル 3.0 何の緊張感もないアクション物。長編分載によくこんな作品を選んだな。
ジェイムズ・ボンド白書(2) 007号の女たち O・F・スネリング
盗作事件始末記 三好徹
秘密結社の手帖7 澁澤龍彦 政治的秘密結社(一)
進化した猿たち(2) 星新一 死刑を楽しく(そのニ)
戦後推理小説裏面史(2) 大西順行
EQMM5番館 大伴昌司
エドガーズ決定 ジョン・ル・カレ「寒い国から帰ってきたスパイ」
どさくさまぎれ 梅田秀俊
名探偵は誰か? 萩原閑子
極楽の鬼 石川喬司
紙上殺人現場 大井広介
探偵小説風物誌 中内正利
陪審席
響きと怒り
表紙 勝呂忠
カット 勝呂忠・真鍋博・杉村篤・高野鉱造・金森達・新井苑子・伊藤誠一
ページ 202ページ
定価 190円

前号で「出来の悪い作品ばかりでうんざり。」とコメントしましたが、今号は前号からの連載長編スターリング・ノエル「スパイは醜悪に死ぬ」がなんとも言いようのない作品だったので、これまた本当にうんざりしました。1965年はEQMM最後の年ですが、ここまでは史上最低レベルであったと言って良いでしょう。あと4号での巻き返しに期待..できるんか(笑)。

三好徹の「盗作事件始末記」というのは、彼の作品「乾いた季節」における身代金受け渡しトリックが、東宝・黒沢プロ映画「天国と地獄」」に似ているとされ、東宝側から盗作呼ばわりされた事件のことです。これはどうも根拠のない言いがかりだったようですが、怒り冷めやらぬ三好がその顛末を書いています。