EQMM 1965/10 No.113

『短篇をごっそり並べてみました。』と言うからには、それなりのレベルを揃えてほしいものです。

題名 作者 評点 コメント
旅人のお守り シャーロット・アームストロング 4.0 異国で亡くなった知人の死体を運ぶ夫婦は車を盗まれてしまう。オチが宗教ネタでつまらん。
フォスター家の財産目録 カート・ヴォネガット・ジュニア 8.0 莫大な資産を持っているのに働き続けるストイックな男の描写がうまい。
荘園の殺人 ドロシイ・B・ヒューズ 3.0 作者のひとりよがりに話が進むだけ。内容が理解できない。
大仮装舞踏会の夜 ホウィット・バーネット 3.0 スペインで暴漢に襲われた男の幻想譚。つまらない。
シャンゼリゼの女スリ ハリー・バーネット 3.0 パリでスリの被害にあった女の話。展開が特にないのにダラダラ長い。
カティナ ロアルド・ダール 7.0 飛行機乗りの話。カティナというギリシャ少女が印象に残る。
海外スパイ ジョージ・サムナー・オールビイ 5.0 北アフリカを舞台にしたスパイ物。話の展開が曖昧なので、ラストが引き立たない。
もう一つの橋 パトリシア・ハイスミス 5.0 妻子を亡くした傷心の男はイタリヤである少年に出会う。ラストが突発的でよくわからない。
誕生日の殺人 アーサー・ポージス 6.0 村の連続殺人担当の警部はあるオールドミスを尋ねる。まあ、予想通りの結末。
メグレと若い女の死(2) ジョルジュ・シムノン
イアン・フレミング、最後に自己を語る イアン・フレミング
ジェイムズ・ボンド白書4 007号のイメージ O・F・スネリング
秘密結社の手帖 澁澤龍彦 クー・クラックス・クラン その他の秘密結社
進化した猿たち(4) 星新一 番号の男たち(上)
戦後推理小説裏面史(4) 大西順行
EQMM5番館 大伴昌司
俺は世界をマタにかける男 梅田秀俊
名探偵は誰か? 萩原閑子
極楽の鬼 石川喬司
紙上殺人現場 大井広介
探偵小説風物誌 中内正利
陪審席 江戸川乱歩の追悼
第7回EQMMコンテスト応募規定
響きと怒り
表紙 勝呂忠
カット 北園克衛・勝呂忠・真鍋博・杉村篤・金森達・新井苑子・池田拓・伊藤誠一
ページ 202ページ
定価 190円

巻頭言で

短篇をごっそり並べてみました。いつも中篇を一本か、二本か載せるところですが、あんまり暑くて、長いものなんかとても読んでいられないというかたのために、いろいろなタイプの短篇を用意したつもりですが。

とありますが、中盤の作品にはうんざりしました。少し前の「響きと怒り」に『最近のEQMMは面白くない』という投稿がありましたが、たしかにそのとおりですね。もう少しセレクションを考えてほしいものです。
そんななかで、カート・ヴォネガット・ジュニアの「フォスター家の財産目録」が光ります。なんといっても人物の造形がうまい。まさにプロの作品、感心しました。