EQMM 1965/12 No.115 EQMM終刊号

前半低調でしたが、後半盛り上がって有終の美を飾れたかな。

題名 作者 評点 コメント
ジェリコと油絵 ヒュー・ペンティコースト 5.0 昔の恋人の誘拐事件に関わってしまうジェリコ。こいつ超人だな。
ピンクの象事件 ジェラルド・カーシュ 5.5 酔いどれ新聞記者の伝説話。よくある展開だが、面白さが伝わらない。
触媒間諜 マイケル・ギルバート 5.0 国外に出ようとする学者を国益の為引き止める施策とは。
海はさし招く モニカ・ディケンズ 5.0 かつらにまつわるショートショート。オチは今ひとつ。
聖なる井戸 エイヴラム・デイヴィッドスン 6.0 あらゆる土地を世俗的な観光地としてしまうジャーナリスト。予想通りの結末。
メイズヴィルの吟遊詩人 リング・ラードナー 4.0 ラストの展開がよくわからない。
少年の終り 土井稔 4.0 たいした趣向でもないのに、ダラダラと長すぎる。EQMM佳作受賞から三作目だが、だんだん悪くなるな。
フルトン文書の謎 ーC・オーギュスト・デュパン“未発表”事件簿よりー マイケル・ハリスン 6.0 デュパンの贋作二作目かな。平凡な出来。
日本カードの怪 ジェイムズ・ホールディング 7.0 暗号トリックと後味の良さで楽しく読める。日本人の変な名前はご愛嬌。
悪魔からの電話 ドン・ノールトン 7.5 隣人の銀行員は妻殺しなのか。男の吝嗇ぶりと、クスリと笑ってしまうラストまでうまくまとまっている。
はにかみ男とレモンパイ マイクル・ズロイ 6.5 夫を殺した女の告白。ラストが皮肉だ。
ワシントン・パーティの殺人 A・H・Z・カー 8.0 破傷風で亡くなった夫の死を疑う妻は関係者が出席するパーティに乗り込む。後半はなかなかの迫力。
進化した猿たち(6) 星新一 静粛に願います
戦後推理小説裏面史(6) 大西順行
EQMM5番館 大伴昌司
極楽の鬼 石川喬司
紙上殺人現場 大井広介
パルプ・マガジン盛衰記 小鷹信光
響きと怒り
終刊号の言葉にかえて EQMM編集長 常盤新平
表紙 勝呂忠
カット 勝呂忠・真鍋博・杉村篤・高野鉱造・新井苑子・金森達・池田拓・高羽賢一・伊藤誠一
ページ 202ページ
定価 190円

EQMM終刊号です。終刊の理由については、『巻頭言』で下記のように語っています。

十年もなじんできた「エラリイ・クイーンズ・ミステリ・マガジン」とたもとをわかつのは、私たちにとっても辛いことではあるし、愛読者のみなさんのなかにも、その続刊を望む声がさぞかし多いのではないかと思います。
けれども、現実には、私たちはEQMMだけで編集をつづけていくことに、ひどい制約を感じているし、読者の眼も肥えて、EQMMの作品だけでは、多くの読者を満足させ得ないところまで来ているのです。 昨年のアンケートの結果も、雑誌の売上成績も、その事実をはっきりと証明しています。

また、『終刊号の言葉にかえて』の中では、

本国版がなんらかの積極的な手を打ってくれなければ、契約料の法外な高さが、こちらの負担になるだけです。

と赤裸々に買ったいることからも、その理由は明らかでしょう。
翌年の1966年からは「ハヤカワ・ミステリ・マガジン(HMM)」として新たなスタートを切り、現在まで刊行されているのですから、その決断が正しかったことは歴史が証明しています。


思えば1973年に購入、拾い読み後にしまい込んでいたEQMMを再度取り出し読み始めたのが2018年7月。それから足掛け5年、本誌115冊、別冊4冊、増刊1冊、計120冊を読み切りました。
これで一つの区切りはついたのですが、HMMも手持ちがあるので、次はなんとか200号あたりを目標に読み進めたいと思っています。