HMM 1967/3 No.131

12篇のショートショート特集。感心したのは一作のみでした。

題名 作者 評点 コメント
星新一 6.0 鍵を拾った男はそれに合う扉を一生探し回る。オチはわかってしまう。
ロバート スタンリイ・エリン 6.5 不気味な少年物とでも言うべきジャンルなのか。ラストは今ひとつ決まらない。
廃墟にて ロアルド・ダール 5.0 1ページにも満たないストーリー。
1ドル98セント アーサー・ポージス 6.5 彼が助けた神は1ドル98セント分の礼しかできないというのだが。うまくまとめている。
危険な曲り角 ジム・ボズワース 4.0 ラストがうまくない。
タイミングの問題 シャーロット・アームストロング 5.0 オチがよくわかりません。
鏡よ鏡 ナイジェル・ニール 3.0 差別意識が強く、現代では通用しない話。
スパイ課 替え玉 エラリイ・クイーン 4.0 相変わらずの言葉遊びパズル。
怪人ルペスキュ氏 H・H・ホームズ 8.0 ルペスキュという妖精に会っているという少年を持て余す母とその友人。裏に隠されたトリックとラストがうまい。
脚光 バッド・シュールバーグ 4.0 オチがわかりません。
タート最大の偉人 アントニー・バウチャー 4.0 このパロディは難解すぎる。
コールガールは花ざかり リチャード・マシスン 5.0 訪問販売の売春婦という設定がおかしい。ラストは今ひとつ。
家計簿の恋 又は、ポール・フェルドスパス氏の唯一の恋物語 アレックス・フィッシャー 3.0 何を書きたいのだろうか。
花を愛でる警官 ヘンリー・スレッサー 6.5 スレッサーにしては珍しい人情話。
二匹の雄鹿と一匹の雌鹿 チャールズ・シモンズ 6.0 一人の女を競う二人の男。ラストはクスリと笑わせる。
わたしの見るあなたの顔 トーマス・モーガン 6.0 別れ話を進める男女。少し残酷な話だ。
青騎士の白い顔 J・F・ピアス 7.0 人物設定が面白い。ラストは少し怖いぞ。
リヴィエラの恋と悪事 ヴィクター・カニング 5.0 ご都合主義のピカレスク。中盤が退屈。
馬に乗った水夫12 アーヴィング・ストーン
青列車は13回停る… 第一話 パリ 非常警報 ボアロー&ナルスジャック
マーロウ誕生の前夜(続) 稲葉明雄
ベルが鳴っている 福田淳
序文学(イントロダクトロジー) 小鷹信光
ノンフィクションガイド 青木雨彦
地獄の仏 石川喬司
私の好きなベスト5 青木秀夫
ミステリ診察室
翻訳権今昔20年(7) 宮田昇
当世ミステリ馬鹿
海外ミステリ消息
響きと怒り
住む次元が違ってケンカになりやしねえ 梅田秀俊
表紙 表紙の言葉 真鍋博
目次・扉 真鍋博
イラスト 勝呂忠・真鍋博・新井苑子・金森達・杉村篤・池田拓・伊藤真樹
ページ 202ページ
定価 200円

今号は「ショートショート特集 <<小悪魔が一ダース>>」ということですが、その中ではH・H・ホームズ「怪人ルペスキュ氏」が抜群の出来。というか、それ以外はぱっとしません。まあ、短い枚数で読者を感心させるストーリーを書くのは大変でしょうから、歩留まりの悪さも致し方ないでしょう。そういう意味で、そんな性格を持つ作品を、特集でまとめて読まされるのは、いささか迷惑ですね。
巻末の中編、ヴィクター・カニング「リヴィエラの恋と悪事」で締めてもらいたいところですが、これも中盤は冗漫、ご都合主義の展開で残念な出来でした。

さて、前号から新連載となった福田淳の評論「ベルが鳴っている」ですが、これが全く面白くない。何が書きたいのかよくわからない出来で、とても長続きするレベルではなさそうです。