HMM 1968/1 No.141

シリーズ探偵物と出来の良い中編が読めれば満足です。

題名 作者 評点 コメント
ママが泣いた ジェイムズ・ヤッフェ 6.5 幼い少年の嫉妬に駆られた殺人とみなされた事件をママが覆す。
過熱したアパート エリック・アンブラー 6.0 嫌われ者のチサール博士、今回は青ひげの連続殺人トリックを見破る。専門的過ぎて見当がつかないけど。
ベダズ計画 ジェイムズ・パウエル 2.0 何がなんだか全くわからない話。
ふくろうは二度鳴く サックス・ローマー 7.0 なかなかムードがあって楽しく読める。犯人の設定が今一つなのが残念。
弾丸のB ローレンス・トリート 6.0 今回は鑑識課のジャブ・フリーマンが主人公。CSIの走りみたいな設定だけど、それほど面白くはない。
スリークォーターズ紛失事件 ロバート・L・フィッシュ 6.5 シュロック・ホームズ物。ラストが妙におかしいのはいつものとおり。
戦争ごっこ レイ・ブラッドベリ 5.0 遊びだと信じて戦争に参加している兵士の話。
九マイルは長すぎる ハリイ・ケメルマン 7.0 その昔読んだときは、えらく感心したものだが、今読み直すとこの推論の仮定は都合良すぎる。
ミス・フィップスと漂流壜 フィリス・ベントレー 5.0 軽く読めるのとハッピーエンドが取り柄。ミステリとして謎らしいものはない。
76番目の顔 ジェイムズ・リーサー 3.0 つまらない。
轢き逃げ フランク・ウォード 7.5 ひき逃げ事件を追う刑事はある少年を逮捕するが、冤罪の可能性を捨てきれない。犯人は少し見当がついてしまうが、面白く読める。
怪船マジック・クリスチャン号10 テリー・サザーン
パルプ小説の生命と時代2 フランク・
ベルが鳴っている 福田淳
地獄の仏 石川喬司
私の好きなベスト5 中田耕治 魅力的な犯人
ミステリ診察室 猫 ジョルジュ・シムノン
ノンフィクションガイド 青木雨彦
訳者と立ち話 『無限の鏡』の永井淳氏
海外ミステリ消息
響きと怒り
1月号登場作家便覧
ミステリ一駒漫画 地球はねばる 梅田秀俊
表紙 表紙の言葉 真鍋博
目次・扉 真鍋博
イラスト 真鍋博・金森達・新井苑子・池田拓・伊藤直樹・岩渕慶造
ページ 202ページ
定価 200円

今号の特集は「 HMM名探偵登場」とのこと。やはりレギュラー探偵登場のシリーズ物はそれだけで読ませる魅力を備えています。この中ではハリイ・ケメルマン「九マイルは長すぎる」が最も有名な作品でしょう。高校時代読んだときには感心したものですが、今回読み直してみるとその推理展開にアラが見えてしかたがない。まあ、「風が吹けば桶屋が儲かる」的なものと割り切って読むのが良いのでしょう。
その他の作品では、サックス・ローマー「ふくろうは二度鳴く」が暗いムードで悪くありません。
巻末のフランク・ウォード「轢き逃げ」も読ませる作品でした。まるで知らない作家ですが、ストーリー展開はうまいし、少し検討はつくものの意外なラストでまとめています。

2ヶ月後の「みすてり鬼検事(読者が選ぶ今月のベスト5)」の結果は以下のとおり。

1.轢き逃げ:フランク・ウォード           3.13  
2.戦争ごっこ:レイ・ブラッドベリ         2.61  
3.ママが泣いた:ジェイムズ・ヤッフェ      2.16  
4.弾丸のB:ローレンス・トリート          1.48  
5.九マイルは長すぎる:ハリイ・ケメルマン   1.48  
次点 ふくろうは二度鳴く:サックス・ローマー