HMM 1968/2 No.142

読み応え十分な中編が二作もあれば、何の文句もありません。

題名 作者 評点 コメント
ミス・フィップス美容院へ行く フィリス・ベントレー 4.0 何が謎なのか全くわからない。
クレイジー! クレイジー! ドナルド・オグデン・ステュアート 2.0 支離滅裂な話。作者がクレイジーなのではないか。
危険な発明 マックス・アドラー 4.0 出来が今ひとつの見開きショートショート。
ハイネの唄 A・J・リーブリング 6.0 ちょっとしたアメリカ人への皮肉が面白い。
大都会がいっぱい ジョゼフ・ヘラー 3.0 何だこれ。単なるエロ小説じゃないか。
趣味の家 リング・ラードナー 6.0 趣味の違う夫婦の話。
アタシノアナタ ジョー・ゴアズ 4.0 機械と会話する男の末路。題材が古臭い。
ベニーと七匹の狩猟犬 マージョリー・K・ローリングズ 7.5 ベニー伯父さんのハチャメチャぶりが楽しい。
歯には歯を ジョン・ラッツ 5.0 殺人会社にライバル殺しを依頼をしてきた男。オチが今ひとつ。
静かな女 ブルーノ・フィッシャー 8.5 よく出来た中編私立探偵物。速いテンポで快調に進む展開は見事。人物描写もうまく結末に説得力がある。
赤いドレスが似合うとき パトリシア・アン・ホリスター 3.0 つまらないショートショート。
五行俗謡 -シェークスピア以後 モーリス・ビショップ 2.0 ページの埋草か。
危うし、ランス・オニール! スコット・メレディス 6.0 落語のようなオチが笑わせる。
サックスに殺意をこめて フレドリック・ブラウン 8.0 中古車販売を営むかつてのバンドマンの周辺で起きる撲殺事件。いささか後味は良くないが、意外なラストが効いている。
怪船マジック・クリスチャン号11 テリー・サザーン
パルプ小説の生命と時代3 フランク・グルーバー
みすてり鳥瞰図 福田淳
地獄の仏 石川喬司
私の好きなベスト5 福島正実
ミステリ診察室 「愛の悪魔」 ユベール・モンテイエ
ノンフィクションガイド 青木雨彦
ミステリ鬼検事
海外ミステリ消息
響きと怒り
2月号登場作家便覧
ミステリ一駒漫画 貴様とオレはぬけがら同志 梅田秀俊
表紙 表紙の言葉 真鍋博
目次・扉 真鍋博
イラスト 勝呂忠・真鍋博・金森達・新井苑子・杉村篤・池田拓・伊藤直樹
ページ 202ページ
定価 200円

「ユーモア小説特集!」の中では、マージョリー・K・ローリングズ「ベニーと七匹の狩猟犬」が主人公ベニー伯父のハチャメチャな行動で笑わせてくれます。その妻の仇名が「メンドリ婆さん」というのも妙におかしい。

今月号で特筆すべきは、ブルーノ・フィッシャー「静かな女」とフレドリック・ブラウン「サックスに殺意をこめて」の二中編。特に前者のストーリー展開の旨さには感心しました。ブラウンの皮肉なラストもさすがの出来。こういう作品が毎号一つでも読めれば、読者の満足度は高いはずです。

2ヶ月後の「みすてり鬼検事(読者が選ぶ今月のベスト5)」の結果は以下のとおり。

1.サックスに殺意をこめて    3.26  
2.静かな女                2.81  
3.歯には歯を              1.25  
4.赤いドレスが似合うとき    1.18  
5.クレイジー! クレイジー!   1.06  
次点 アタシノアナタ