HMM 1968/5 No.145

ショートショートを読み続けるのは、あまり楽しい読書でないことを痛感しました。

題名 作者 評点 コメント
涙でつづるパパへの手紙 結城昌治 6.0 男をヒモとして養うことに生きがいを感じる女。伏線がほしかった。
泥棒 ヘレン・ハドスン 3.0 つまらない。
都筑道夫 6.5 怪我を予測する鏡を利用した男の末路。リドルストーリー的な展開は今ひとつ効いていない。
海の見える窓 エスター・カールスン 3.0 出来が悪い。
ハイ・ヌーン ジョン・B・スター 5.0 シリアスな決闘と思わせて、というよくある話。
仕事の鬼 アラン・V・エルストン 7.5 このオチは面白い。
最後で最高の密室 スティーヴン・バー 7.0 ちょっと面白い人間消失トリック。
民衆の敵 ジョン・ホルト 5.0 いささか後味が悪い。
睡眠恐怖症 小沢正 8.0 吉良上野介になっている夢を見る男は、精神科医のお世話になるのだが..。これはよくできている。
致命的な魅力 エヴァン・ハンター 4.0 オチがわかりません。
殺しの標的 ウイリアム・ノーラン 4.0 ありふれた展開。
お遊びの時間です E・B・ホワイト 4.0 ぱっとしないオチ。
オエラ方にいってくれ ウイリアム・マハーグ 6.0 ダイヤの隠し場所は面白い。
四行ミステリ フレドリック・ブラウン 6.0 文字通り四行の小咄が四つ。
口紅のように冷やかに デイ・キーン 4.0 好感のもてない男が自業自得で滅ぶという話。特にひねりもなく平凡。
三時間の仕事 ウイリアム・フランシス 6.0 脅迫されている女優の依頼を受けたエージェント。面白くなりそうな展開だったのに、うまくまとまらなかった。
危険な休日 フィリス・ベントレー 4.0 相変わらずつまらないミス・フィリップス物。登場人物が多すぎて、作者しかわからないような展開になってしまうのが致命的だ。
名人気質 ロン・スティーヴンス 6.5 サーカスのナイフ投げ夫妻と愛人の葛藤。語り口は面白いが、ラストはもう少しひねってほしい。
鋼鉄の爪 マッキンレイ・カンター 5.5 平凡な展開。
ブラック・マックス オクティヴァス・R・コーエン 7.0 同僚を罠にかけようとした男はとんだしっぺ返しを食らう。悪くない出来。
メグレと無愛想な刑事と殺し屋たち 最終回 ジョルジュ・シムノン
警察小説とその周辺3 小鷹信光
みすてり鳥瞰図 福田淳
地獄の仏 石川喬司
私の好きなベスト5
ミステリ診察室 ロバート・マーカム「孫大佐」
ノンフィクションガイド 青木雨彦 笑ってばかりは
ミステリ鬼検事
海外ミステリ消息
響きと怒り
5月号登場作家便覧
ミステリ一駒漫画 よろい 梅田秀俊
表紙 表紙の言葉 真鍋博
目次・扉 真鍋博
イラスト 勝呂忠・真鍋博・勝呂正・金森達・新井苑子・池田拓・伊藤直樹・岩渕慶造・福与篤・桜井一・高部俊介
ページ 202ページ
定価 200円

今号は「日米ショート・ショート競作特集」。個人的にショート・ショートはあまり好きではありません。理由は「面白い作品を書くのは難しい」、それゆえ「ハズレを読まされる確率が高い」からです。また、読書というのは、小説の導入部でストーリー展開を理解することにエネルギーを使うものですが、今回のように作品数が多いとその苦労が通常の数倍となってしまう、ということもあります。

その中にあって、小沢正「睡眠恐怖症」を評価しましたが、2ヶ月後の「みすてり鬼検事(読者が選ぶ今月のベスト5)」の結果は以下のとおり。わたしの採点と全く合ってないなあ。全部1点台だから点数が割れたんでしょうけど。

1.民衆の敵                        1.40  
2.メグレと無愛想な刑事と殺し屋たち    1.37  
3.口紅のように冷やかに              1.35  
4.最後で最高の密室                 1.32  
5.涙でつづるパパへの手紙            1.11  
次点 海の見える窓                  1.00