HMM 1968/11 No.151

『ジェミニイ・クリケット事件』掲載記念号ですね。
題名 | 作者 | 評点 | コメント |
---|---|---|---|
処刑 | P・D・ジェイムズ | 6.5 | 思わせぶりなラストはあまり効いていない。 |
ロシア・ルーレット | C・B・ギルフォード | 5.0 | 女を争う男はロシアンルーレットでケリをつけようとする。予想通りの結末。 |
宝さがし | メルヴィル・D・ポースト | 6.0 | アブナー伯父物。結末はわかってしまうが雰囲気が良い。 |
モクじいさん | ステーシー・オーモニア | 4.0 | 長い話のわりにまとまりがない。 |
夢の家 | アンドレ・モーロワ | 5.0 | 見開きショートショート。オチはすぐわかる。 |
ジェミニイ・クリケット事件 | クリスチアナ・ブランド | 8.5 | その昔これを読んで感動したことを思い出す。 |
狙った女 | マイケル・ギルバート | 4.0 | よくわからん。 |
河を渡って | P・シャイラー・ミラー | 3.0 | ダラダラ長いだけの怪奇小説。 |
夢の街のローズ | デイモン・ラニアン | 5.0 | いつものラニアンだが、語り口には少し飽きた。 |
絶対音感 | ジェローム・バリィ | 4.0 | これもオチがわからない。 |
ダニイ・ボーイ | ダン・ソンタップ | 5.0 | なんのひねりもない悪女物。 |
神の復讐 | ルーファス・キング | 5.0 | 途中で犯人は明らかになってしまい、それ以上何の展開もなく終了。 |
ホームズは誰だ? | アーヴィング・ウォーレス | ||
原作と翻訳のあいだ | 菊池光 | ジョン・ポール会見記 | |
男性雑誌による現代アメリカのフォークロア | 片岡義男 | その4「女はワイセツではない」というアメリカの信念 | |
みすてり鳥瞰図 | 福田淳 | ||
地獄の仏 | 石川喬司 | ||
ミステリ診察室 | 「タナーと十二人の女」ローレンス・ | ||
ノンフィクションガイド | 青木雨彦 | 動くのは雲か | |
ミステリ鬼検事 | |||
海外ミステリ消息 | ガードナーーの再婚ほか | ||
響きと怒り | |||
ミステリ一駒漫画 医者『しかし、おしいですなあ』 | 梅田秀俊 | ||
表紙 表紙の言葉 | 真鍋博 | ||
目次・扉 | 真鍋博 | ||
イラスト | 真鍋博・勝呂忠・金森達・新井苑子・池田拓・伊藤直樹・岩渕慶造・桜井一・楢喜八・小松原司郎 | ||
ページ | 202ページ | ||
定価 | 200円 |
ずっと読み続けている HMM ですが、実はすべて1970年代後半に古本屋で買い集めていたものでして、買ったはいいがそのまま積読状態になっていたものを、半世紀たった現在にその在庫を消化しているというのが実態です。
それでも購入した当時、気になる作品は拾い読みしていたわけですが、その中で最も強く印象に残っているのが、今号に掲載されているクリスチアナ・ブランド「ジェミニイ・クリケット事件」です。この作品は本格ミステリとして、不可能犯罪物としてよくできていますが、さらにラストでツィストを効かせるところなど心憎いばかりです。もう、数回読んでいるので初回ほどの衝撃はありませんが、それでも傑作だと思います。ただ、あのトリックは無理があるかもしれません。錯覚するほど多数の警官が現場に来るほどの事件ではないでしょうから。ちなみに、創元推理文庫「招かれざる客たちのビュッフェ」にはラストが違うバージョンが収録されていますが、こちらのほうが効果的ですね。
この作品は、今月号の特集にあるように「イギリス推理小説協会コンテスト」に応募されたもののようで、第一席がP・D・ジェイムズ「処刑」、第二席がこの「ジェミニイ・クリケット事件」とのこと。どう見てもその評価は逆だろうと思うのですが、2ヶ月後の「みすてり鬼検事(読者が選ぶ今月のベスト5)」の結果もそれを示しています。
1.ジェミニイ・クリケット事件 2.90
2.処刑 2.66
3.神の復讐 1.66
4.ロシア・ルーレット 1.53
5.絶対音感 1.03
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