HMM 1969/1 No.153 新年特別号

長編連載と評論に舵切りをしたのかな。

題名 作者 評点 コメント
黒いキャビネット ジョン・ディクスン・カー 6.0 バックグラウンドが日本人にはわからない。
酔いどれの記者 ロバート・トゥーイ 7.0 酔いどれ記者が謀殺の謎解き。なかなか読ませるし、ラストも面白い。
結婚記念日 エラリイ・クイーン 5.0 毎度おなじみ陳腐な数合わせパズル。
冷たいのがお好き リング・ラードナー 7.0 長々とした手紙のやり取りはいささか冗漫だったが、ラストの皮肉には笑ってしまった。さすがうまい。
真昼の夢 福島正実 2.0 読むに耐えぬ駄文の塊。
血はつながる グウェンドリン・バトラー 5.0 喫茶店の退屈な話だと思っていたら、最後の一行でぎょっとさせられた。でも、そこまでが退屈すぎる。
血統 前篇 ディック・フランシス
クラレンス・ダロウは弁護する(2) アーヴィング・ストーン
エプソムで夕食を 虫明亜呂無
新・進化した猿たち 星新一
男性雑誌による現代アメリカのフォークロア 片岡義男 その6「トルー」誌がのせた三つ記事を中心に
みすてり鳥瞰図 福田淳
地獄の仏 石川喬司
異常感覚歳時記 針谷愛
紐育の日本人 平尾圭吾 競馬(その1)
ミステリ英語道場 中内正利
ミステリ診察室 太田博 1968年のEQMM
ノンフィクションガイド 青木雨彦 バウェリーの乞食
ミステリ鬼検事
海外ミステリ消息 キース、デューイ、マクロードなど
響きと怒り
ミステリ一駒漫画 オレを殺れば出口はふさがるぜ 梅田秀俊
表紙 表紙の言葉 真鍋博
目次・扉 真鍋博
イラスト 真鍋博・勝呂忠・金森達・新井苑子・池田拓・伊藤直樹・楢喜八・山野辺進
ページ 202ページ
定価 230円

1969年新年号。低調だった1968年から脱却できるでしょうか。

今月号は半分近くを占めているディック・フランシス「血統」の長編分載、カーとクイーンというビッグネームのラインアップですから、評判は悪くないでしょう。残念ながらクイーンに精彩はありませんが。
結局、今後は評論を充実させ、長編の連載などで読者の興味を引いていく方向性なのでしょう。読むに耐えないショートストーリーを大量に読まされるより数段ましですから、悪くない方針だとは思います。

2ヶ月後の「みすてり鬼検事(読者が選ぶ今月のベスト5)」の結果は以下のとおり。

1.血統               4.50  
2.結婚記念日          2.42  
3.冷たいのがお好き     2.11  
4.黒いキャビネット     1.85  
5.酔いどれの記者      1.65  
次点 血はつながる