HMM 1969/5 No.157 本格ミステリ特集

中盤の作品にはうんざりしましたが、巻頭のケメルマンと巻末のポーターで良しとしましょう。

題名 作者 評点 コメント
わらの男 ハリイ・ケメルマン 7.0 誘拐にまつわる事件をニッキイ・ウェルトが解く。指紋のロジックに説得力がないのが残念。
片目のジャニー デイモン・ラニアン 6.5 廃屋に追い詰められた男の最後の手は..。後味が良い。
謎の兇器 ジャック・フットレル 4.0 陳腐な殺人トリックにがっかり。
内助の功 ヘレン・ニールスン 5.0 女に繰られる男の末路。予想通りの展開。
スナル虫 アントニー・バウチャー 5.0 悪魔との契約物。オチがよくわからん。
有罪 ファニー・ハースト 2.0 長々とつまらない話を読まされる身になってほしい。
しわんぼう エイプリル・アーロンズ 3.0 これまたつまらない。短いのが救い。
ブラック・コーヒー クリスチアナ・ブランド 6.5 単純な話を膨らませる手腕に感心するが、出来は平凡。
君といつまでも タルミジ・パウエル 4.0 他愛のない話。
急げドーヴァー! ジョイス・ポーター 7.5 下痢に悩むドーヴァーが謎を解く一編。それが解決の伏線になっているところが面白い。
クラレンス・ダロウは弁護する(6) アーヴィング・ストーン
PUZZLER小論 都筑道夫
新・進化した猿たち 星新一
男性雑誌による現代アメリカのフォークロア 片岡義男 その10 ジョーク/マガジン(2)
みすてり鳥瞰図 福田淳
地獄の仏 石川喬司
異常感覚歳時記 針谷愛 美少女について
紐育の日本人 平尾圭吾 アメリカン・ユーモア(その3)
ミステリ英語道場 中内正利
ミステリ診察室 「シモンズ、スパイ小説を語る」ジュリアン・シモンズ
海外ミステリ消息 1968年度海外ミステリ・ベスト13ほか
ノンフィクションガイド 青木雨彦
響きと怒り
ミステリ一駒漫画 徐々に硬直 梅田秀俊
表紙 表紙の言葉 真鍋博
目次・扉 真鍋博
イラスト 真鍋博・勝呂忠・金森達・池田拓・伊藤直樹・岩渕慶造・桜井一・楢喜八・吉永文治
ページ 202ページ
定価 230円

今号は「本格ミステリ特集」。その中では「わらの男」、「急げドーヴァー!」がなかなか読ませる作品でした。ドーヴァー警部が犯人の目星を、駆け込んだトイレから得るというのはなかなか面白い趣向。そういえば、コミック「金田一少年の事件簿」にも同じ設定があったな。残り2作「謎の兇器」は陳腐な殺人トリックに、「有罪」はどうしようもなくつまらない、どちらもがっかり。

2ヶ月後の「みすてり鬼検事(読者が選ぶ今月のベスト5)」は終了した模様です。