HMM 1969/7 No.159 ショート・ショート特集号
大量のショート・ショートを読むのはしんどいものですが、出来が悪いとなおさらですね。
| 題名 | 作者 | 評点 | コメント |
|---|---|---|---|
| 少年と両親 | 星新一 | 7.0 | 両親に金をせびる少年の行く末は。今なら現実にありそうな設定だ。 |
| ライター | マッキンレイ・カンター | 7.5 | 盲目の物乞いに絡まれる男。ラストのオチが面白い。 |
| 蘭 | 塚本邦雄 | 8.0 | 短い中に一つの完結した世界を作りあげる筆力がすごい。 |
| 第二の降臨 | ロバート・ブロック | 6.5 | 降臨した第二のキリストをめぐる騒ぎを時系列で示したお話。ジョークだな。 |
| わかれ | イアン・S・トムスン | 7.0 | 別れのカップルと思わせておいて..、オチが面白い。 |
| ドノヴァン、早く帰ってきて | 三条美穂 | 5.0 | ベトナムからの帰還兵は故郷に残した女に会いに行く。オチが今ひとつ。 |
| 動かぬ証拠 | ヘレン・ニールスン | 3.0 | ゴタゴタしていてまとまりがない。 |
| サラダ料理 | ロバート・マクニア | 4.0 | これのどこが「MWA最優秀短編賞候補作品」なのだろうか。 |
| ディナー・パーティ | リング・ラードナー | 4.0 | 内容のないおしゃべり女はうんざりだが、それを読まされる読者も同感だな。 |
| 兇暴な口 | 小松左京 | 6.0 | 自分自身を食べ尽くす男の話。悪趣味だが発送はすごい。 |
| きっともどってくる | コーリイ・フォード | 3.0 | つまらない。 |
| 悪魔飼育法 | アントニー・バウチャー | 7.0 | 悪魔との契約物。なるほどと納得できる交渉術だ。 |
| 霊夢 | 福島正実 | 3.0 | 作家としてのレベルが低い。 |
| 生存の図式 | リチャード・マシスン | 4.0 | よく意味がわからない。 |
| 二つの物語 | 河野典生 | 3.0 | つまらない。 |
| 銀紙 | アルフォンソ・F・アモレス | 4.0 | 予想通りの展開で平凡な出来。 |
| ふたりの世界をバラ色に | 結城昌治 | 6.0 | 落語だね。 |
| 2000年 | ロバート・アバーナシイ | 4.0 | 未来の2000年は今や遠い過去なのもあってピンと外れになってしまった。 |
| メアリー叔母さんの安楽死 | シリル・ヘアー | 5.0 | 叔母の遺産を狙う男の話。ラストは今ひとつ。 |
| 温泉宿 | 都筑道夫 | 4.0 | 宿泊を拒否されるカップル。設定は面白いが、ショートショートでは生かされない。 |
| バーニイ | ウィル・スタントン | 3.0 | よくわからない。 |
| 特別サービス | エド・レイシイ | 7.0 | 懲役を終えたスリを車に拾った男は、悪徳警官に違反切符を着られうのだが..。ラストは痛快。 |
| ミステリの女王 | 石川喬司 | 5.0 | 三面記事風の展開。当時似たような事件があったのだろうか。 |
| ストロベリー・アイスクリーム・ソーダ | アーウィン・ショウ | 3.0 | 「都会小説」とのことだが、舞台は田舎、中身は退屈。 |
| 消えたスタンドウィック夫人 | ネドラ・タイア | 5.0 | 旅先で親しくなった婦人を訪ねる女性。他愛のない結末にがっかり。 |
| 救いの手 | リチャード・マーステン | 6.5 | 孤独な老人と暮らす組織を抜けた男は殺し屋を返り討ちにするが嫌疑は老人に。どうすべきか彼は苦悩する。さすがマクベイン、うまくまとめている。 |
| クラレンス・ダロウは弁護する(8) | アーヴィング・ストーン | ||
| 新・進化した猿たち | 星新一 | ||
| 男性雑誌による現代アメリカのフォークロア | 片岡義男 | 殺人実話<2> | |
| みすてり鳥瞰図 | 福田淳 | ||
| 地獄の仏 | 石川喬司 | ||
| 異常感覚歳時記 | 針谷愛 | 背広について | |
| 紐育の日本人 | 平尾圭吾 | 底辺に生きる男たち | |
| ミステリ英語道場 | 中内正利 | ||
| ミステリ診察室 | 「モンゴが帰ってきた」E・リチャード・ジョンソン | ||
| ノンフィクションガイド | 青木雨彦 | 「暮しの手帖」をテストする | |
| 海外ミステリ消息 | |||
| 響きと怒り | |||
| ミステリ一駒漫画 われらのモンタージュが行く | 梅田秀俊 | ||
| 表紙 表紙の言葉 | 真鍋博 | ||
| 目次・扉 | 真鍋博 | ||
| イラスト | 真鍋博・勝呂忠・金森達・池田拓・伊藤直樹・岩渕慶造・桜井一・楢喜八 | ||
| ページ | 202ページ | ||
| 定価 | 230円 |
今号は「ショート・ショート特集」。小説を読むというのはその世界に入るまで時間がかかるもので、その労力は馬鹿になりません。その意味で「ショートショート」を大量に読まされるというのは結構な負荷であり、これを特集するというのはいかがなものでしょう。あまり良い編集方針とは言えないのではないでしょうか。
ましてや、出来が良くない作品が続くとうんざりします。今後の前半はそれなりの作品が並んでいたのですが、後半に至ってレベルが低下。うんざりしました。
そんな作品の中で、塚本邦雄「蘭」は強い印象を持ちました。やはり詩人の持つ表現力というものはすごい。この人には「十二神将変」というミステリ仕立ての小説もあるようなので、今度是非読んでみたいものです。