EQMM 2019/04 No.0 EQMM21号から30号までを総括する。

作品の分布について

この間の作品数は全96編。ポイント平均は、6.06、6点を0.06ポイント、今回は上回りました。

総数 平均 偏差 8.5 8.0 7.5 7.0 6.5 6.0 5.5 5.0 4.0 3.0 2.0
96 6.06 1.50 4 8 9 13 18 8 6 14 12 1 3
% 4.17 8.33 9.38 13.54 18.75 8.33 6.25 14.58 12.50 1.04 3.12

秀作

8.0ポイント以上は秀作。8.5ポイントはそれを上回る作品と評価します。

秀作率も回復、なんと4.44%から12.50%まで、大幅に上昇しています。10号までの16.67%には及びませんが、10%を超える数字は素晴らしい。

題名 作者 評点 コメント 掲載号
お待ちの間の殺人 フレドリック・ブラウン 8.5 これはやられた。意外性のあるラストはいいなあ。 1958-06-024
パリから来た紳士 ジョン・ディクスン・カー 8.5 再読なのでラストは知っていたが、それでも読ませる。酒場の猥雑な描写と、現場の暗い雰囲気のコントラストが素晴らしい。 1958-09-027
特別料理 スタンリイ・エリン 8.5 名作は違う。結末は誰でもわかるが、それを書く筆力がすごい。 1958-10-028
玉を懐いて罪あり トマス・フラナガン 8.5 これは見事な出来。舞台設定がまず良いし、趣向も面白い。 1958-11-029
8.5以上の作品 : 4
人殺しは誰でもする ヘレン・マクロイ 8.0 発端からラストまで緊張感を保っている。謎解きも説得力がある。 1958-05-023
アデスタを吹く冷たい風 トマス・フラナガン 8.0 テナント大佐の人物像と暗いムードが良い。 1958-06-024
小鳥たちはまた歌う クレイグ・ライス 8.0 マローンが出てくるだけで楽しいし、ひねりのある結末も効いている。 1958-06-024
壁をへだてた目撃者 スタンリイ・エリン 8.0 さすがエリン、趣向はすこしわかるが読ませる。 1958-08-026
カザノヴァのアリバイ ラファエル・サバチニ 8.0 これは痛快。 1958-08-026
二重像 ロイ・ヴィカーズ 8.0 この作家にしては派手な設定で読ませる。でも終わり方は同じだ。 1958-09-027
誰でもない男の裁判 A・H・Z・カー 8.0 犯人の計画は少し杜撰だが、語り口の旨さで読ませる。50年代のクリスチャンにとってはインパクトの強いテーマなのだろうが、21世紀の仏教徒には今ひとつ響かない。 1958-09-027
獅子のたてがみ トマス・フラナガン 8.0 ストーリー展開とラストの捻りが見事。 1958-12-030
8.0の作品 : 8
秀作(8.0以上) : 12 12.50%

フラナガンが3作、エリンが2作入っています。この時期のEQMMは、二人が出ていると面白い、そんな印象があります。


作家別頻出度

登場作家はトータル76名。前回は72名でしたので、あまり変化はありません。
最多出場は、フラナガンの5作。この作家はどれも面白く、素晴らしい才能だと思います。消えてしまったのが、本当に惜しい。

下記に2作以上登場した作家を一覧表示します。

作家数 :76名
トマス・フラナガン : 5
ロイ・ヴィカーズ : 4
スタンリイ・エリン : 3
シャーロット・アームストロング : 2
A・H・Z・カー : 2
バリイ・ペロウン : 2
エドガー・パングボーン : 2
エドマンド・クリスピン : 2
ジョン・ディクスン・カー : 2
スチュアート・パーマー : 2
エラリイ・クイーン : 2
ドロシー・ソールズベリ・デイヴィス : 2
レスリー・チャータリス : 2
フレドリック・ブラウン : 2

読むに耐えぬ作品

全96作品中、3ポイント以下は4編。
まあ、このレベルに抑えてもらえれば、文句を言いますまい。

題名 作者 評点 コメント 掲載号
ネラが住んでいた家 メイベル・シーリイ 3.0 つまらん。この作家は前作もひどかった。 1958-05-023
春のあらし ドロシー・ソールズベリ・デイヴィス 2.0 つまらん、長い、退屈。とりえがない。 1958-03-021
三人の自転車曲乘師 ジョルジュ・シムノン 2.0 大嫌いな作家なので流し読みしたら、複雑で話がわからん。 1958-06-024
にやおうん エドガー・パングボーン 2.0 なんだこりゃ 1958-10-028
問題あり(3.0以下) : 4 4.17%